うちの子は、手のひらをヒラヒラします。止めさせたいけど、うまくいきません。どうしたらいいでしょうか?

手のひらをヒラヒラする。

我が家の長男が、幼児期の頃からしている行動です。

この行動のことを「常同行動」と言います。

一見すると、意味もなくしている行動なので、私は何とか止めさせようと思いました。

でも、私は「あること」に気づいたのです。

その「あること」とは・・?

止めさせることよりも大切なこと

長男が自閉症と診断される前から、手をヒラヒラさせる、常同行動がありました。

他にも、「横目で物を見る」「ぴょんぴょん飛び跳ねる」こともしていましたね。

長男の常同行動が辛い・・・

幼児期から、何とか止めさせようと、いろんなことを試してみましたが、小学校入学以降になっても、やはりたびたびあります。

お子さんによっては、大人になっても常同行動が続きます。

それは、知的に問題がなく自立している方でも、時折見られるようです。

 

長男が幼児期の頃は、常同行動がよくあったので、

「ああ、またやっている・・・」

と、げんなりしたことが度々ありました。

 

おそらく、長男にとっては、特に何か目的があってその行動をしているわけではなかったと思います。

でも私は、その行動を見ているだけで、辛かったし、どうしてこんなことをするのか、理解することができませんでした。

それに、一緒に外出した時は、長男の行動を好奇な目で見る人がいましたので、私も周りの目が気になって、とても辛い時期がありました。

常同行動から分かる長男の気持ち

でも、ある時ふと気づいたのです。

こんな行動をするのは、すごく嬉しかったり、悲しかったり、嫌だったり、言葉や伝え方がうまくできないから、そうやって表現しているからなんだ。

そう思うと、その行動を受け容れられるようになりました。

「うぃ~~~~」と嬉しそうに、手をヒラヒラさせていると、すごく嬉しいんだな。

外出中に、体を前後に揺らしていると、イライラしているんだな~と思って、「はいはい、次、行くよ~」と受け流すことができるようになりました。

 

そして、最も大事なことは、手をひらひらさせたタイミングで、コミュニケーションの方法を広げることができるということです。

「うん、嬉しいよね。嬉しいって言うんだよ。」「う れ し い で す」

こんな感じに、自分の気持ちを相手に伝える手段を増やしてあげることができます。

今では、より場面に応じて適切な言葉が言える練習をしています。

「お腹すいた」「寒い」「暑い」「眠い」「イやだ!」「できない!」などです。

物の名前を言える事とは違って、自分の気持ちや想いを表現できるように訓練することはとても大切な事です。

自分の気持ちを言える手段をたくさん身につけることができれば、日々の生活が過ごしやすくなりますし、自然と不適切な行動も減っていくでしょう。

 

でも、どうして常同行動が現れるのでしょうか?

どうして、手のひらをヒラヒラするの?

常同行動は、手をヒラヒラする以外に・・・

  • 腕や手をバタバタさせる
  • ぴょんぴょんと飛び跳ねる
  • 頭をクルクル回す
  • 横目で見る
  • 指と指をこすり合わせる
  • 鉛筆を握って、カチカチと音をさせて打ち付ける

このような行動が挙げられます。

こうした常同行動の原因は、感覚刺激を得るものだったり、興奮状態が体全体にまで及んだためとも言われていますが、はっきりとした理由は解明されていません。

対人コミュニケーションがとれていないことが原因で、同じ動作を繰り返すとも言われています。

 

また、これらの手足の動きや顔の動きは、お子さんが次の感情のときに、よく表れるようです。

  • 興奮しているとき
  • イライラしているとき
  • 怒っているとき
  • 1つのことに全神経を注いでいるとき(例:おもちゃの車のタイヤをまわしているとき)

我が家の長男は、イライラしているときや、手持ち無沙汰のときに、よく手をヒラヒラさせていました。

あなたのお子さんは、どうでしょうか?

日常の場面によっては、切り替えることが必要

お子さんが常同行動で、自分の気持ちを表現しているのであれば、無理に止めようとするとお子さんは、大きな声を出したり、癇癪を起すかもしれません。

でも、日常の場面によっては、静かにして欲しいときもありますよね。

そんなときは、どうしたらいいでしょうか?

常同行動から別の行動へと切り替えさせる

まず、親がお子さんの行動を真似してみる、「逆模倣」をしてみます。

例えば、お子さんが手をヒラヒラさせているときに、お子さんの近くで同じように手をヒラヒラさせましょう。

これで、お子さんが、何気なくあなたの方へ、注意を向けることがあります。

 

一旦、これで行動が止めるかもしれませんが、しばらくすると、また同じ行動を始めてしまうかもしれません。

そんな時に、「ダメ!」「止めて!」とお子さんにお願いしても、止めるのは難しいです。

そのため、逆模倣でお子さんがあなたの方へ注意を向けた時に、行動を「切り替える」必要があります。

 

例えば、拍手とかバンザイとか、お子さんが理解できそうな簡単な指示を出してみましょう。

指示した動作を模倣してもらうことによって、常同行動から、他の行動に切り替えていきます。

さらに、常同行動から、模倣に切り替えることができたら、別の行動へとお子さんを誘ってみましょう。

例えば・・・

  • 絵を描く
  • 本を読む
  • おもちゃで遊ぶ

でも、外出先だと、なかなか難しいですよね。

我が家では、次のように試みてみました。

外出先での場合(スーパーにて)

我が家の長男も、スーパーに行くと、手をヒラヒラさせて、体を前後に揺らしながら歩くときがあります。

そこで、スーパーへ行くときに、長男に私がお願いしたものをとってもらい、カゴの中に入れてもらっています。

「バナナ、取ってきてください」

「トマト2つ、取ってください」

これで、別の行動へと切り替えることになりますし、野菜の名前や、5までの数の概念を習得する練習にもなりました。

毎回楽しそうに、お願いしたものを取ってきてくれるので、私も買い物が楽しくなりましたね。

まとめ

手をヒラヒラさせるなど、常同行動の原因は、今だに解明はされていません。

一般的に、感覚刺激を得るためだったり、興奮状態が体全体に及んだためだったり、対人コミュニケーションがとれていないことが原因で、自分の世界に入ってしまうためとも言われています。

特に興奮したり、イライラしたり、1つのことに集中することで、顕著に表れるようです。

 

常同行動を止めさせるには、お子さんに注意を親へ向けさせる方法があります。

お子さんの注意を向けるために、お子さんのマネをする逆模倣を行います。

しかし、ただ止めさせるだけでは、またすぐに同じ常同行動に戻ってしまいますから、拍手などで行動を切り替えて、遊びなど別の行動へと転換していきましょう。

 

常同行動は、大人になっても続く場合があります。

親としては、心配になりますし、モヤモヤな気持ちになるかもしれません。

大事なことは、常同行動もお子さんの気持ちの表現の一部だと言うことです。

これを鍵にして、生活の場面によって、適切な言葉が言えるように、練習してみましょう。

お子さんの対人コミュニケーションがスキルアップできれば、お互いにストレス無く過ごせるようになりますよ。

 

いかがでしょうか?

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