自閉症の子どもに、食事のマナーを身につけてもらうには、どうしたらいいの?

子どもが日常生活の中で、身につけることの1つに、「食事マナー」があります。

次男が幼児期の頃、食事中は大変でした。

 

服で口や手を拭く

ポロポロこぼす

箸を使わないで、手づかみをしてしまう

下に落ちたものを食べようとする

箸や食器で音を鳴らすなど、ふざけたりする

食器を持たない・姿勢が悪い

 

あなたのお子さんの食事マナーは、どうですか?

子どもの視点で考えてみる

子どもが、食事中にポロポロこぼしたり、ふざけてなかなか食べなかったり、

そんな様子を見ていると、ついイライラして叱ったことはありませんか?

でも、子どもからの視点で考えると、その原因がわかるかもしれません。

 

我が家の子供達の視点の例を、よろしければ参考にしてください。

服で汚れた手や口を拭く

  • おしぼりなど、拭くものがないから
  • すぐに拭けるものだから
  • 手や口が汚れていたことに、気付かなかったから

ポロポロこぼす

  • テレビが点いているから
  • テレビを消した時に映る自分を見ているから
  • よく噛んでいないから

箸を使わないで、手づかみをしてしまう

  • 箸が上手く使えないから
  • 早く食べたいという気持ちが、とっさに出たから
  • 本人は手で食べたほうが、食べやすいと思ったから

下に落ちたものを、食べようとする

  • 「汚い」という概念が、よくわからないから
  • テーブルに落ちたものが、OKになるときがあるから
  • 落ちたものが、どうしても食べたかったから

箸や食器で音を鳴らしたり、ふざけたりする

  • 音を鳴らすことが、面白いから
  • 親に注目して欲しいから
  • 早く食べたいから
  • 食事に飽きてきたから

食器を持たない・姿勢が悪い

  • 食器を持つことの必要性が、わからないから
  • 本人が、気付いていないだけかもしれないから
  • 疲れているなど、具合が悪いかもしれないから

 

いかがでしょうか?

お子さんの視点から、どうして食事中に困った行動をするのかがわかると、

それに基づいて、ご家庭の食事のルールが決めやすくなると思います。

 

また、お子さんに注意をする時は、まずは落ち着いて状況を見てください。

場合によっては、その時のお子さんの気持ちに寄り添うことも、大切だと思います。

子どもに気付かせる工夫

食事のマナーは、すぐに身につくものではありません。

やはり、練習は必要です。

お子さんが、自分でマナーをチェックできる工夫を取り入れてみては、いかがでしょうか?

おしぼりを用意する

我が家では、食事の際に、子供達用にそれぞれおしぼりを用意しています。

手や口が汚れた時は、服ではなく、おしぼりで拭くことを、小さい頃から教えてきました。

今では、食事中におしぼりがないと、「おしぼり、ください」と要求されるぐらい日常となっています。

 

お子さんによっては、口の周りが汚れいることに気づかない時もあります。

最初は、お母さんがお子さんを拭いてあげてください。

 

そして、おしぼりで拭くことがわかってきたら、お子さんが自分で拭くことにチャレンジしてみましょう。

汚れていることに気付いていない時は、お子さんに「くち、汚れているよ」と声掛けしたり、

お母さんが自分の口を指差しするなどのジェスチャーや、鏡を見せるなど、

お子さんにとって、わかりやすい方法を試してみてください。

お手本は、子どもから見る側で

お子さんが、エジソン箸のような練習箸から、普通の箸になる場合、

最初は、箸をなかなか上手く持てなかったり、

気が付いたら、独特な持ち方になっている時があるかもしれません。

 

あなたがお子さんにお手本を見せる時は、お子さんが模倣しやすいように、

手の向きや、箸の向きは、お子さんと同じにしてください。

他には、正しい箸の持ち方の写真を、お子さんの近くに置いて、

お子さんが自分で確認できる方法もあります。

 

また、もしお子さんが、なかなか上手くできないときは、

もう一度、練習箸に戻したりするなど、焦らず練習を積み重ねていきましょう。

ビニールシートを引いておく

我が家の子供達は小さい頃、よくテーブルの下にボロボロと落としていました。

そんな時に、活躍したのはビニールシートです!

(※子供用のレジャーシートでもOKです。床も汚れないし、手入れも簡単です。)

 

食事の前に、お子さんが座るイスの下にビニールシートを引いておいてください。

お子さんが、食事を終えたあと、一緒にチェックしてみましょう。

ただ、たくさんこぼれていても、決して叱らないでくださいね。

それよりは、「次は頑張ろうね」と励ましてあげることが、お子さんにとって次のモチベーションにつながります。

そして、何もこぼれていなかったら、「やったね!」などお子さんを褒めてください。

 

お子さんの年齢にもよりますが、ビニールシートの上に落ちたものを集めて、捨てることを練習しましょう。

それにより、「落ちたものは、捨てる」という認識に繋がると思います。

食べている様子を録画して、本人に確認してもらう

お子さんが食べている様子を、親が常に隣で見たり、

お子さんの食事マナーに、常に注意を向けたり、指摘したりするのは大変です。

 

例えば、携帯やスマートフォンで、数分だけでもお子さんの様子を録画しては、いかがでしょうか?

録画をすることで、

どういう姿勢で食べているか?

お茶碗は持っているか?・・・など

お子さんに自分の姿を、客観的に見てもらうことができます。

 

録画を一緒に見るとき、

お子さんの直して欲しいところは、指摘するだけで終わるのではなく、

「次は、大丈夫!」など、お子さんを励ますことも忘れないでください。

もちろん、お子さんの良いところがあったら、きちんと褒めましょう。

 

ただ、毎回録画をすると、お子さんが録画を気にして、食事に集中できなくなります。

どうしてもここは、直して欲しい時だけ録画するなど、限定的にしてください。

「三角食べ」ができないのは、悪いこと?

食事マナーの中に「三角食べ」があります。

「三角食べ」は、1970年代、主に学校給食の指導で広がりました。

ご飯とおかずなどを順番にバランスよく食べる・食べ残しを防ぐなどのメリットがあるようです。

 

ただ、自閉症児の中には、「三角食べ」をすると口の中で味が混ざるため、

少量ずつ順番に食べることが、辛いと感じる子どもがいます。

我が家の長男が、そうかもしれません。

長男は、夕食の時、サラダ→おかず→ご飯の順番で食べます。

でも、長男はそれほど好き嫌いもありませんし、完食することができます。

 

「三角食べ」ができない理由として、他には、順番どおりに食べたいという「こだわり」や、

好きなものから食べたいという「衝動性」などがあります。

 

ただ、「三角食べ」ができないことが、駄目ではないと私は思います。

確かに、マナーとしてはよくないかもしれません。

でも、適度な食事の量を、きちんと残さず食べれているのならば、いいのではないかと思います。

(※お子さんが少食で、三角食べができない場合は、食事の量を少なくし、おかわりの回数を増やして完食を目指す方法もあります)

 

お子さんが、苦手だったり・辛いことを把握せず、無理強いすることはいけません。

他の面から、どうサポートするのかを考えることが大切だと思います。

まとめ

幼児期にポロポロこぼしたりしていた次男。

現在の食事マナーは、「まあまあ」だと思います。

 

食事マナーを守ることは、大切です。

でも、マナーを守ることばかりに気にしていると、

子どもにとって、食事をすることにプレッシャーを感じてしまうかもしれません。

 

また、食事のマナーは、すぐ身につくものではありません。

長期的な練習や、理解あるサポートが必要です。

お子さんと楽しく食事することを第一に、焦らずに進めていきましょう。

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