我が家の子供たちは、支援学校等でよく「いい子だね。」と褒められます。
昔は、日常生活のありとあらゆることにマイルールがあり、ちょっとしたことで気に入らないのか、泣き叫んで大変でした。
ですが、今では大きなパニックはありません。
何故でしょうか?
私たちが独自の方法を取ったからだと思います。
目次
パニックについて考える
パニックって何でしょうか?
私たちが考えるパニックとは、強いストレスがかかっている状態で、
精神の状態や身体の状態を自分で制御できない状態になることだと考えています。
一般的な書籍等では、パニックを予防するために手順を示しましょうとか、
パニックに陥ったらよく話し合いをしましょうとか、いろいろな記載があります。
しかし、どれも散発的な記載ばかりでした。
そこで、我が家はこのように整理しています。
パニック体策としては、
パニックに陥らないための予防とパニックに陥った際の対処に分けて考えています。
パニックに陥らないための予防
パニックに陥らないための予防としては、さらに3つに分かれます。
- 子供の変化への対応力を上げる
- 先の予測ができるように示す
- そもそも環境を変化させない
日常生活を営むうえで、我が家の優先順位は1・2・3の順で取り組んできました。
おそらくこのブログを読んでいる方の中には、3・2・1の順で取り組んでいる方もいるのではないかと思います。
何故このような取り組みを行ってきたのかについては、実はちゃんとした理由があります。
パニックに陥った際の対処
パニックに陥ったら以下の順で対処を行います。
- 原因を確認する
- 原因を取り除く
- 外っておく(明らかにわがままだと判断できたとき)
- 心が休まる道具を利用する・抱きしめる等
- 気をそらす
- 落ち着く場所に連れて行く
最も注意すべき点は、強いストレスがかかった、その原因です。
困難なことに、子供たちは満足にしゃべれないため、慢性的に強いストレス環境におかれていますし(親もですが)、
パニックの原因を特定することが困難なことが多い点です。
1番、2番については、もし原因が分かり、取り除いたほうが良いものであれば対処します。
しかし、その原因がゲームをしたい、お茶じゃなくジュースじゃないといやだ等、
明らかにわがままであると判断できる場合のみ、3番のとおり外っておきます。
注意しなければいけないことは、わがままだと思っていたら、
実はトイレに行きたかったけどいけない理由があった。
お腹が痛かった。
おしっこを漏らして気持ち悪かった。等
一見非常に分かりにくいことがありますから、十分に観察することが大前提です。
また、勘違いしないでいただきたいことは、外っておくと言っても、
無関心ということではなく相手にしないということで、常に親が主導権を握るという意味です。
中には既に、泣き叫べば希望がかなうということが身に付いてしまっているような状況だと、
「吐く」「おしっこをもらす」等のように、より不適切な行動に置き換わってしまう場合も考えられますから、
常に子供の状況を見ながら誘導することが大事です。
また、4.5.6.の順についてもちゃんとした理由があります。
なぜ、強いストレスがかかるのか?
発語がない子供たちや、身振り手振り等のコミュニケーション手段を持たない子供たちは、慢性的に強いストレス環境におかれています。
さらに、日常的にマイルールを作っている子供たちは、そのルールから外れることを極端に嫌がります。
これは、ローナウイングが著書の中で以下のように言っています。
- 社会的相互交渉の障がい
- コミュニケーションと想像力の障がい
- 1・2の結果としてもたらされる変化への抵抗と反復的活動
マイルールから外れることに強いストレスがかかる状況は、3番の原因によるものと考えています。
つまり、パニックに陥らないための予防として、環境を変化させないことは、3番への対処です。
そのため、我が家の予防対策の中で「そもそも環境を変化させない」の順位が低いのは、このためです。
やはり最も注視すべきなのは1番と2番です。
余談ですが、私たちも、毎日の中で習慣化していることがあると思います。
例えば、朝起きて歯を磨いて顔を洗う、新聞を読む等です。
もしご主人や奥様が、今日は新聞を読んじゃだめ。と言われたらどうでしょうか?
その場は何かに困るわけじゃないですが、習慣を変えるのって気持ち悪いですよね。
習慣とは変化させることが非常に難しいものなのです。
また、逆に習慣化した行動というのは、特に深く考えて行動しているものではありません。
皆さんも朝歯を磨くときに、今日は上の歯から磨こうかな?いやいや下からでしょ。歯ブラシを鼻に入れてみたらどうかな?等と考えないですよね。
一見不思議に見える子供たちの行動も、きっとルールを作った時は理由があって、その後は特に考えず繰り返しているだけなのかもしれません。
スケジュールをあえて示さない
よくネットや書籍では
「自閉症の子供には日課を守りましょう。」
「日課に沿って生活していれば、子供は次に起こる事柄を予測できます。
そうすると心穏やかに過ごすことができます。」
と言うようなことが書かれていますが、我が家は正反対です。
これも、前述のローナウイングの3番にあてはまります。
我が家では、スケジュールを示すのは、映画館に行く時や旅行へ行く時等の、
パニックの対処が難しい場面、またはどうしても予防したい理由がある場合に限っています。
皆さんは、スケジュールを立てるということは、特に考えずに毎日おこなっていています。
また、実際は、そのスケジュールどおりに行かないことの方がほとんどで、自分で時間管理をしながら、スケジュールを組みなおす作業を無意識でやっています。
では、時間感覚が希薄かつ、スケジューリングができない子供に、一旦見通しを立ててしまうとどうでしょうか?
今度は、その通りに行動しなくてはならず、逆にスケジュールに変更が出た際には、パニックの原因になりえます。
ですから、日常の生活の中では、今日は買い物に行って、外でご飯を食べて・・・などの見通しは立てていませんし、突然出かけたりもよくします。
むしろ、お出かけしたらおいしいものが食べれる。楽しいことがある。
というようなことが少しずつ理解できるようになるにつれ、突然の環境の変化にも徐々に対応できるようになっていきます。
落ち着く場所をあえて作らない
パニックに陥ったときに、落ち着く場所、例えばダンボールで囲った場所等は我が家では作りませんでした。
自宅では、必要に応じて子供たちが布団に包まったりできますし、あえて作らないようにした最大の理由は、管理ができないからです。
つまり、持ち運びができない。親のコントロールがきかない。という大きな欠点があるためです。
どこに出かけるにもダンボールを持っていかなくては・・等というのは正直難しいです。
パニックに陥った際の対処で最も優先度が低いのはこのためです。
子供の注意をそらすのもしない
子供をブランコに乗せてしずかに前後にゆすったり、いすに座らせてグルグル回転させたり、前庭刺激運動というらしいです。
これをすることによって、パニックの原因から身体的感覚へと注意が逸れるとのことです。
我が家ではどちらかと言えば、パニック時にやるのではなく、いい子にできていたら、ご褒美に遊びの一環としてやっています。
パニックはいつ何処で起きるのか分かりませんから、これが習慣化した場合、どこから椅子を持ってくるの?となりかねないからです。
この理由から、パニックに陥った際の対処ではやはり優先度が低いです。
気をそらせるのであれば、YouTubeの方がよほどご機嫌になります。
追記ですが、バランスボールはおすすめだと思います。
子供の体幹が鍛えられますし、飛び跳ねるのが好きですから、座って1人でびょんびょん飛び跳ねています。
ただし、常に置いてあるわけではなく、時々気が向いたら片付けたり、逆に気が向いたら出したりしています。
おススメしたい対処法
やはり一番のおススメはタオルケットです。
心が休まる道具を利用する。ということなのですが、
理由は、
- 持ち運びが可能である。
- 仮に持ち歩いてもそこまで不自然ではない。
- 自分の匂いがついていて落ち着きやすい。
- 体に巻くこともできる。
- 外出時にも持っていかない、又は持っていく等のコントロールがきく。
- 親主導で徐々に使用頻度を減らすこともできる。
等です。
子供によっては、お気に入りの人形等のおもちゃでも良いかもしれません。
とにかく、子供が落ち着くもので、仮に成長してから持ち歩いていても社会的に問題がないようなもので、親がコントロールしやすい物をお勧めします。
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