私達には自閉症スペクトラムの子供が2人おり、長男は特別支援学校に、次男は通常の学校に設置されている特別支援学級に通っています。
そのため、授業や学校行事等が、それぞれに違っている点があります。
地域や学校によって違う点もあるかと思いますが、お子さんの進学先を決める際の参考にしていただければ幸いです。
目次
基本的な違いは?
クラス編成や先生の人数
特別支援学校の小学校は「小学部」と呼ばれており、1~3年生を「低学年」、4~6年生を「高学年」としています。
ですから、1~3年生までは、「小学部低学年〇組」になります。
そのため、低学年の1クラスに、1・2・3年生が1人ずつ配置される場合もあります。
そして、1クラス当たりの児童の人数が、上限4名までになるように編成します。
また、1クラスに4人いる場合は、先生1人に対して児童が1名または2名までになるように編成されているので、先生の人数は、1クラス当たり3~4人になります。
一方、特別支援学級は、次男が特別支援学級に入学した時点では、次男を含めて生徒は7人で、先生の数は2人でした。
地域にもよりますが、先生1人に対して生徒数は上限8人までが、基本的なクラス構成になります。
また、我が家が住んでいる地域では、特別支援学級は、「知的障がい」・「自閉症・情緒」で、クラス分けするのが一般的となっています。
学校の時間割の違いは?
特別支援学校の方が、特別支援学級よりも、帯状の時間割になっています。
2つの1週間の時間割を、比較してみましょう。
特別支援学校の時間割(小学部低学年の場合)
国語や算数などの学習面ではなく、生活単元学習などの生活面を重視し、将来の自立に向けての学習をしています。
ただ、国語や算数が全くないわけではありません。
個人の力量に合わせて、朝の学習時間でやりますし、宿題(自主学習)もあります。
私達の子供の場合、毎日の宿題に取り組み始めたのは、3年生になってからでした。
2017年12月の時点で、朝の学習では、日付・時計の読み方、文章づくり、お金の練習が中心です。
生活単元学習では、畑で野菜を作ったり、調理をしたり、バスに乗って買い物の練習や、他の学校との交流会があります。
また、時間割の中に「遊び」とありますが、簡単なルールに基づいた遊びを行います。
例えば、ボールを使って、空のペットボトルを倒す遊びです。
ルールは、「線の外側からボールを投げ、ペットボトルを倒した後は、自分でペットボトルを元に戻す」ことです。
体育・音楽・図工と通常の小学校と同様にありますが、図工以外は全クラス合同でやります。
授業内容は、通常の小学校よりも易しくなっています。
体育は、最初に音楽に合わせて、歩いたり走ったりをして体をほぐしてから、始まります。
私が授業参観で見たときは、サーキット形式の器械運動が中心でした。
平均台・マット・網くぐりなどが各所に置いてあり、ぐるぐると周ります。
音楽は、手遊び中心の音楽が多く、たまに楽器も使うこともしますが、タンバリン・鈴・マラカスなどの簡単なものが中心です。
運動会や文化祭が近いときは、テレビの映像を見ながらダンスの練習もしています。
図工では、絵を描いたり、粘土制作などがあり、最近は、スチレンボードを使っての版画や習字をしています。
図工で作ったものは、作品展に出される時があります。
給食が終わり、帰りの会までは、自由遊びの時間です。
この時間は、本人が選択したことができます。
お子さんによっては、教室で過ごしたり、プレイルームでトランポリンに跳ねたり、晴れた日は外で遊んだりしています。
特別支援学級の時間割(低学年の場合)
特別支援学校よりも、生活面より学習の面が、やや重視されている時間割となっています。
国語と算数に関しては、1年生から実施されており、個人の力量に応じて、ドリルなどを進めています。
特別支援学校とは違って、先生がほぼマンツーマンではないので、ある程度は自分で学習を進める必要があります。
ですから、わからない時や、終わった時には先生に知らせたりなど、ある程度主体的に動くことができないといけません。
特別支援学級では、1年生から宿題が出されます。計算ドリルや書き取り、漢字ノート等が中心です。
もちろん、夏休みの宿題もあります。
生活単元学習は、特別支援学校と同様に、畑仕事、買い物学習(徒歩で近くのスーパー)、調理、他校との交流会などを行います。
また、体育・音楽・図工を中心に、普通学級の授業に参加することができます。
国語や算数などの教科の授業にも参加することが可能なのですが、個人の力量によると思います。
我が家の次男は、体育と音楽だけ、普通学級の授業に参加させてもらっています。
学校生活の違いは?
特別支援学校と特別支援学級では、同じようで違う点があります。
地域によっても違うかもしれませんが、我が家の子供達が通っている小学校を例に簡単にご紹介しますので、参考にしてください。
クラス内の係りの仕事
特別支援学校
1年生から係りの仕事があります。ゴミ捨て・健康観察カードを取りに行く・クラスの出席状況の報告等があります。
我が家の長男は、1年生からクラスの出席状況の報告をしています。
お子さんによっては、違う仕事にローテンションしているようです。
特別支援学級
入学して1学期から係りの仕事があります。
ゴミ捨て・黒板消し・健康観察カードを取りに行く等があります。
係りの仕事はローテンションで、学期ごとに変わります。
クラブ
特別支援学校
クラブはなく、中学部(※中学校)になってから「部活」としてあります。
特別支援学級
クラブがあります。
1~3年生ではありませんが、4年生からあります。
休み時間
特別支援学校
休み時間という時間枠は特に決められていません。
時間割の間はトイレや移動に使われています。
特別支援学級
休み時間については、一般の学校と同じです。
トイレや移動のほか、教室内で自由に過ごしたり、昼休み時間は、校庭に出て遊んだりもします。
給食
特別支援学校
給食の時間になると、自宅から持参したエプロン・三角巾・マスクを装着します。
給食当番は特に決められていませんが、給食室まで配膳かごや牛乳瓶などを取りに行ったり、おぼんを机に並べるなど、各自のできることに応じて先生が決めてくれます。
3年生の長男は茶碗や箸等が入った配膳かごを取りに行っています。1~2年生のときは、主に牛乳瓶でした。
配膳は、主に先生がしくれますが、自分でできる子は、自分でしています。
我が家の場合、自分でよそった分は、最後まで食べきるように指導してもらっています。
でも、どうしても食べきれない時は、「へらしてください」と言って、先生に少し減らしてもらっています。
完食を目標としていますが、子供の様子や親の意向を優先して頂けます。
特別支援学級
給食当番は、一般の学校と同じです。
給食の時間になると、当番者は、給食帽子・かっぽう着・マスクを装着します。
給食帽子・かっぽう着は、当番になった子が家に持ち帰り、洗濯して、また学校にもって行きます。
配膳は、ほとんど自分達でしているようです。
次男は、魚類でも生魚が苦手で、しらすが出てた時は、1口だけ頑張って、あとは残していました。
場合にもよりますが、完食が絶対と言うわけでは、ありません。
掃除
特別支援学校
小学部低学年では、教室の中を雑巾がけします。
生活自立のための練習でもあるので、雑巾を絞ったり、まっすぐ雑巾がけできることが目標になります。
特別支援学級
一般の学校と同じで、自分の教室以外も掃除を行います。
掃除場所は、ずっと同じところではなく、何回か変わります.
我が家の次男の掃除場所は、廊下が多いです。
通常学級の上級生の子と混じって掃除をしています。
どっちが早く雑巾がけできるか競争しているようです。
学校行事の違いは?
特別支援学校
長男が通っている特別支援学校は、「3学期制」を採っています。(※2学期制を採っている学校もあります)
「3学期制」をとっている通常の学校とさほど変わりませんが、運動会が秋ではなく、春にあることが違います。
その他、1学期ごとに授業参観と保護者懇談会(約60分)が行事に組まれています。
特別支援学級
次男が通っている学校は、「2学期制」を採っています。「秋休み」の前が1学期で、その後が2学期となっています。
3学期制と違うところは、夏休みが短く、2017年は7/20~8/28(※宿題は8月21日に全提出)となり、秋の運動会終了後に「秋休み」があります(※2017年は10/13~10/17)
他の行事に関しては、3学期制とほぼ同じです。
その他、1学期始め頃、冬休みに入る前、2学期終了間近頃に、保護者懇談会(約30分)が行事に組まれています。
登下校の違いは?
特別支援学校
長男が通っている特別支援学校は、登校時間は、8:30~8:50になっています。
スクールバスもあり、遠くから通学している児童以外に、バスの練習として利用している児童もいます。
我が家の場合は、スクールバスの沿線に該当しないのと、学校まで距離があるので、私が毎朝送迎しています。
下校時間は、原則14:00です。ただ、卒業式などの学校行事の関係で、11時頃に下校する場合もあります。
我が家の場合は、放課後デイサービスを利用しているので、下校時は施設の職員さんが迎えに来てくれます。
特別支援学級
一般の学校と同じで、登校時間は、7:30~8:00になっており、徒歩による集団登校となっています。
我が家の次男の場合、集団での登校には参加していません。
それは、次男がいろんなことに気をとられがちで、他の児童に迷惑をかけることを心配したためです。
現在は、私が毎朝車で送迎しています。
下校時間は、原則15:00です。
学校にもよりますが、木曜日は、14:20頃に下校です。
2年生以降になると6時間目までの授業があり、下校時間が15:50になる日もあります。
我が家の場合、次男も長男と同様、放課後ディサービスを利用しているので、下校時は施設の職員さんが迎えに来てくれます。
まとめ
特別支援学校は「生活面での自立」を重視し、特別支援学級は「生活面」よりも「学業面」がやや重視されている学校生活になっています。
ですから、特別支援学級では、先生のサポートがなくても、ある程度、身辺の自立ができていないと、本人にとって学校生活は大変だと思います。
実際に我が家の次男が、特別支援学級に入学して、連絡帳や、先生の話から学校の様子を聞いて、そう実感しました。
次男は、先生から叱られる時もありますが、毎日が楽しいようです。
私達は、長男が小学校進学先を決める際に、特別支援学校か特別支援学級に進学させるのか、かなり迷いました。
その当時は、言語は不十分、排泄は自立できていませんでした。
そのため、将来の自立面を考慮して、最終的には、特別支援学校に決めました。
もちろん、入学してからというもの、悩む日も多くありました。
本当にこれでよかったのかな・・・?
将来のことを考えると、無理にでも、特別支援学級にしたほうがよかったのでは・・・?
しかし、特別支援学級のことがわかるようになって、長男にはやっぱり難しかったと実感しています。
今では、特別支援学校で学年が上がるにつれて、少しずつ成長する姿が頼もしく感じています。
また、先生方との連携もとれていますから、当時の自分達の判断は間違ってなかったと思っています。
特別支援学校と特別支援学級の違いを読んでいただいて、分かるかもしれませんが、一般的には特別支援学校の方が、より親の意向を汲み取ってくれます。
私達の場合、子供の様子を見ながら、少しずつでも新しいことにチャレンジして欲しいと考えています。
そのため、学期ごとに行われる保護者懇談会では、先生と私達で教育方針の確認を行っています。
子供の小学校進学先を決めることは、単純に「特別支援学校にすればいい」「特別支援学級にすればいい」ということでは、ありません。
子供の発達状態を把握して、子供達により適した方を選ばなければなりません。
以前、特別支援学級の見学に行った時のことです、クラスの児童のうち、1人だけが明らかに他の児童より重度のようでした。
具体的になことは記載しませんが、私達が見ている限りでは、明らかに授業に参加できていませんでした。
せっかく学校に来ているのに、毎日座って過ごすだけでは、お子さんにとってもマイナスでしかありません。
最終的に小学校の進学先を決定するのは、「お母さん・お父さん」です。
お子さんが入学した後の学校生活を想像して、ご両親でよく話し合い、お子さんの視点に立って検討されることをおすすめします。
追伸
私達の体験や学んだことを1冊のデジタルEブックにしてあります。
もし、子育てでお悩みの方がいらっしゃいましたら、何かしらのヒントが得られるかもしれないので、下からダウンロードしてみてください。
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