自閉症スペクトラムと2次障害の関係とは?

私たちは、メールマガジンやブログなどで、何度も何度も

子供をたくさん褒めましょう。

お母さんは頑張り過ぎないように、適度に力を抜きましょう。

とお伝えしています。

と言いますのも、自閉症スペクトラムに起因して、様々な2次障害に至る恐れがあるからです。

では、2次障害に至るというのは、どういったものがあるのでしょうか。

自閉症スペクトラム障害と2次障害

自閉症スペクトラムのお子さんは、障害による困難さだけでなく、それが引き金となって、

学校でいじめにあったり、家庭環境に何らかの問題を抱えたりすることが、しばしばあります。

 

例えば、発達に困難を抱えている子が、社会の活動の中で、学習困難や不登校、いじめ、対人関係などの2次的な問題を抱えることになります。

特にいじめに関しては、どうしてもいじめのターゲットになりやすく、また、いじめまでいかないにしても、嫌な思いをする事が多くなりがちです。

長男にあった悲しい出来事

長男が保育園に通っていた頃。

いつものように長男を迎えに行ったときのことです。

お迎えの時間になると、年少・年中・年長組は、1つの教室に集まって、自分たちの好きな遊びをしながら、親が来るのを待ちます。

年中だった長男は、まだ発語もなく、同じ年の子と遊びの輪には入らず、先生方の近くで遊ぶといった感じでした。

ところが、その日はいつもと違っていました。

 

長男は、年長組の3人の男の子に囲まれて、そのうちの1人の男の子に頭を押さえつけられていたのです。

何も言うことも、抵抗もできずにいる長男。

年長の男の子たちは、笑いながら長男の様子を見ていたのです。

先生方は、全く気付いておらず、私は、その光景に驚いて、動けませんでした。

今振り返っても、「何しているの!」と言って、年長の男の子達から長男を引き離し、注意をすべきだったと悔やんでいます。

後日、この出来事を、園長先生にお話ししたところ、幸いにもすぐに対処して頂けました。

それからは、大丈夫だったと思いますが、実際のところは、わかりません。

 

自分がどんなに嫌なことがあっても、発語がうまくできなくて、訴えることができない。

訴えることができても、自分の気持ちを分かってもらえない。

子供たちは、心細く、不安な気持ちを抱えることになります。

そして、これらが原因となって、鬱や統合失調症、強迫性障害、パニック障害など、様々な精神疾患に罹患する場合があります。

これが、いわゆる2次障害といわれるものです。

健康と未病と病気の違いは

では、精神疾患に至るというのは、ある日突然なのでしょうか。

実は、病気と健康の間には未病という状態があります。

健康から病気に至る間は連続的なのです。

 

分かりやすいように、コップに入った水に例えてみましょう。

コップに水がない状態が健康で、水があふれ出した瞬間が病気だとします。

コップには水というストレスが注がれたり、自然と蒸発したりします。

 

人間には、恒常性を保つために自然治癒という機能が備わっています。

このコップの例で言いますと、コップの水が蒸発して空の状態に戻ろうとする機能のことです。

そして、コップに水は溜まっているけれど、あふれ出してはいない。

この状態が未病と呼ばれるものです。

 

未病の状態であれば、時間をかけて健康の状態に戻ることができる点がポイントです。

では、もし水があふれ出してしまったらどうでしょうか。

この時、初めて病気となるわけですが、この段階まで行ってしまうと、医療機関での投薬など、治療が必要になります。

体重が増えたら、糖尿病になる前に、食事や運動などの生活習慣を改善する必要があるのと似ていますね。

ストレスについて

では、ストレスに関しては、どのように考えればいいのでしょうか。

これは、ストレスの強さではなく、ストレスがかかり続ける長さが問題になります。

とてもわかりやすい例がありますので、ご紹介します。

「コップを置くことを忘れないで」

ある心理学者が、ストレスの管理を教えていたときのことです。

部屋を歩きながら、彼女がコップ1杯の水を持ち上げたので、

「もうコップ半分しか水がない、と思うか、まだ半分も水がある」

というような質問をされるのだろうと、皆が思いました。

ところが、彼女はこのように問いかけたのです。

「このコップの水は、どのくらいの重さですか?」

200グラムという人から、500グラムという人まで、様々でした。

すると、彼女はこう答えました。

「実は、正確な重さはそれほど重要ではありません。

なぜなら、どれくらいの時間、私がコップを持っているか。

それこそが重要だからです。

もし、私がコップを持っている時間が、1分であれば問題はありません。

では、もしコップを持っている時間が1時間だったらどうでしょう。

おそらく、私の腕は痛くなるでしょう。

仮に、1日中私がコップを持っていたら、私の腕はパンパンになって、感覚を無くしてしまうでしょう。

当然ながら、どの段階でも、コップの重さは変わりません。

しかし、より長い間、持ち続けるほど、私にとって、それは重くのしかかることになるのです。」

人生における、ストレスや心配事は、このコップの水のようなものです。

ストレスや心配事が、一時であれば何も問題はありません。

しかし、少し長い間ストレスや心配ごとについて考えていると、徐々に痛みとなってきます。

そして、一日中心配事やストレスのことを考え続けると、次第に麻痺し、何もすることができなくなるのです。

コップを置くことを、忘れてはいけません。

出典:“Remember To Put The Glass Down”

子どもだけではなくて、親にも言えること

私たちは、毎日頑張っているお母さん達に、

頑張り過ぎないで、時には休息をしてくださいね。

気分転換が大事ですから、何か好きな趣味を見つけてください。

とお伝えしています。

 

でも、このようなことを言っていますと、時々、

そんな余裕のある時間は、ありません。とか、

もっと子供の能力を伸ばすことが、大事でしょ?

というようなご指摘をいただく時もあります。

 

確かに、お母さんが元気いっぱい、子育てが楽しければ、そう言えるでしょう。

しかし、すべてのお母さんがそうではないのです。

どんなに教育熱心なお母さんであったとしても、頑張りすぎてしまって、病気になってしまうのでは元も子もないのです。

レジリエンスとは

では、先ほどの例の中にあるように、どのくらいの長さコップを置けばいいのでしょうか。

これは、ストレスに対する「しなやかさ」や「ストレス耐性」によって変わってきます。

そこで注目されるのが「レジリエンス」と呼ばれるものです。

 

これは、私たちが子供達を褒めて伸ばすことを推奨していることにも繋がっています。

子供達は、どんどん新しいことに挑戦して、たくさんの小さな成功体験を積み上げることで、

もし何か失敗しても、「まぁいっか。次頑張ろう。」と思えるしなやかな心を育むためでもあります。

 

わが家の次男は、毎朝みんなに「おはよう!」と声をかけるので、学年の雰囲気が良くなるのだそうです。

中には、無視されたりすることもあるそうです。

でも、そこでいじけたりすることなく、「みんな、おはよう!」と言える心を育むことの大事さを学びました。

 

少なくとも、このサイトをご覧になっているご家庭のお子さんには、高い自己肯定感を持って欲しい。

2次障害などによって、大変な思いをされるご家庭が少しでも少なくなって欲しいと願っています。

レジリエンスに関しては、また別の記事で特集しようと思います。

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この本の中には、これまで私達が体験してきたいろいろなエピソードを基に、私達が感じた不安や、不安を感じつつも、やってきて良かったと思ったこと、そして、自閉症の子供を健やかに育てるために、幼児期から気を付ける7つのことが書かれています。
かつての私達と同じように、将来に対する不安を抱えているお母さんや、お子さんに診断が出て戸惑っているお母さん、不安になっているお母さん達の心の負担がきっと軽くなるでしょう。

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