子供達が泣き叫んだり、つばを吐いたり、人に噛み付いたり・・・
子供達の不適切な行動に対して、あなたは困ってしまう時がないでしょうか?
できれば、子供達には、落ち着きがある、いい子でいてもらいたいものです。
今回のテーマは、子供が不適切な行動をとった場合、叱るべきかどうか、その判断基準と叱るタイミングについてです。
不適応行動への対応について
私達が子供を育てていくうえで、最初に参考にした書籍は、洋書を翻訳したものが多いです。
現在、療育の主流となっているTEACCHやABAは、もともとアメリカから取り入れた手法です。
当時、最新の手法は無いか、実際に療育した人の体験談を合わせて解説した書籍は無いか?と、一生懸命探していました。
その頃、まだ日本では、ABA療育を数年以上続けた実績に基づいた書籍が、ほとんどありませんでした。
色々探した結果、自然と洋書にたどり着いたように感じます。
自閉症児へのABA入門 「Raising a child with autism」(Shira Richman著)にはこのように書かれています。
不適応行動はおそらく、親にとって日頃最も対処が困難なものでしょう。
不適応行動には、自己刺激行動、常同行動、かんしゃく、攻撃行動、自傷行為などがあります。
子どもが困った行動をしたときに、多くの親は罰によって何とかしようとするかもしれません。
しかし、自閉症の子どもの問題行動にアプローチする場合、罰にはいくつかの問題点があります。罰には長期的に見た場合、効果がないことが研究により証明されています。
しかし、与えやすく、またこれによって子どもの行動がすぐに変わることもあるので、罰を使う親は以前よりも、より罰に依存していく場合もあります。
しかも、子どもはいつも罰の意味が理解できているとは限りません。
問題行動が起きても、罰は父親が帰宅してからとか、母親の手が空いてからというように、先に延ばされているのであれば、子どもはなぜ自分が罰せられるのか、その理由を忘れてしまうことがあります。
たとえ子どもが理由を覚えていたとしても、その頃になっては罰の効力は弱まり、子どもの問題行動を減らすまでには至りません。
また、不適切な行動をした後に、子どもが望ましい行動をしたのに罰してしまうと、問題行動の代わりに、せっかくのよい行動を減らしてしまうことになります。さらに、罰は恐怖と攻撃的な行動を誘発することがあります。
また、罰を与える人を罰そのものと結びつけ、罰を与えていないときでも、その人に恐れと攻撃性を重ね見てしまうかもしれません。
子どもは模倣を通して学習します。
罰を真似て、同じことを自分自身や他の同年齢の子どもたちにしてしまうかもしれません。最も重要なことは、罰はたとえ問題行動を止めたとしても、新しい行動を作り出さないということです。
不適応行動を減らす際、強調すべき点は、自分の欲求をもっと適切な形で表現する方法を子どもにおしえてあげることです。
実施しやすい指導方法、また、子どもが正しい行動を学び、それを示すたびにほめられ、認められて、強化される機会を与えるような方法を選ぶことが大切です。どの行動が不適切で、ターゲットとなるのかを決める前に、人とは違った行動が本当に問題行動なのか考えてみましょう。
例えば、爪をかんだり、指の関節を鳴らしたりすることは見苦しい行動かもしれませんが、行動療法を使って減らすまでのものではありません。
減らすべき行動を選ぶ際のガイドラインとして、次のようなものがあります。
- その行動は、本人にとって害があるものなのか。(自傷)
- その行動は他人にとって害があるものなのか。(攻撃)
- その行動は学習を妨げるものなのか。
- その行動は社会へのかかわりを制限するものなのか。
標的となる行動は、たいてい罰を使わずに減らしていくことができます。
そしてその行動の代わりに、もっと適切な行動を作りあげることもできるのです。出典:自閉症児へのABA入門 親と教師のためのガイド シーラ・リッチマン著
私達は、子供達を叱るときには、ここにあるように、
この子にとって、害があるか?
他人を害することか?
学習を妨げるものか?
社会への関わりを制限するものか?
これを基に判断するようにしました。
ただ初めは、よくパパから「今、子どもを怒っていたけれど、それは、間違っていると思うよ。」と指摘されては、ムッとしてよくケンカしていました。
今でもたまにありますが、昔よりは減っていると思います。
何でもそうだと思いますが、すぐに完璧を目指さないように気をつけてください。
叱る基準を決めても、「この通りにしないと・・・」と固執することは、よくありません。
なぜなら、お母さんは、子どもと過ごす時間がご主人よりも長いです。
例えば、あなたが急いでいる時には、子どものちょっとした行動でも、とっさに怒ってしまうかもしれません。
そのため、いつもは叱る基準を意識して、過ごすように心がけてください。
また、怒ってしまう前に、一呼吸するなど、自分の気持ちを落ち着かせるのも、いいと思います。
「そのうち、できるようになる」ぐらいの気持ちで、諦めずにコツコツ続けることが大事です。
叱る時は「その時・その場で」
私達の場合、子供達を叱るときは、「その時・その場で」つまり、現行犯が鉄則です。
過去に次男は、なぜか毎回、おしっこが出そうになると、トコトコと部屋の隅っこに行き、そこでおしっこをするというこだわりが、ありました。
私がそれに気付いたときは、とき既に遅く、部屋の隅っこはおしっこだらけになりました。
しかも、1回だけではなく、何度も・・・。
次男は、知らん顔でテレビを見たり、私が「あ~!」という反応が楽しくて、ヘラヘラ笑っていたのです。
その次男の態度を見て私は、毎回激しく怒鳴りつけてしまいました。
でもパパは、
と、言ったのです。
その時は、なぜ、そんなことを言うのか理解できませんでした。
どう考えても、怒ってでも止めさせた方がいいと思ったからです。
結果、次男はなかなか改善しませんでしたし、私のイライラは募るばかりでした。
次男からすれば、私が後から怒っても、何のことか分からなかったのかもしれません。
また、私が「あ~!」と言うのが、次男にとっては面白くて、余計に助長してしまったのだと思います。
そのため、パパに対応策を考えてもらい、実践しました。
すでに部屋の隅でしてしまった後は、ノーリアクションで片付け、次男に対して何も言わないし、相手にしないことにしました。
また、部屋の隅に歩いていったときに、トイレに誘導していったのです。
うまくいかない時もありましたが、上手にトイレできたときは、思いっきり次男を褒めてあげました。
すると、部屋の隅でするこだわりが、徐々になくなったのです。
次男にとっては、自分がした行動で相手にされないより、褒められる方を選んだのだと思います。
「その時・その場で」ですが、今では私達のルールとして定着しています。
今の私達は、どうなのか?
皆さんが不安に思うことの一つに、
「どの療育に取り組んだら、どの程度、自閉症の改善が見込めるのだろう?」
が、あると思います。
私達は、応用行動分析を基に、療育を取り組みました。
もちろん、子供達の自閉症という障がいは、「治って」いるわけではありません。
他のお子さんから比べると、まだまだできないことは、たくさんあります。
でも、少し前の子供達からは想像ができないくらい、できることが増えてきました。
以前、ブログで、キャンプに行ったときの動画を紹介しました。
動画を見てもらうと分かりますが、私達の子供は、テントの周りをウロウロはしていましたが、勝手にどこでも行くわけではなく、必ず私達の目の届くところにいてくれました。
ただ、以前から、こうだったわけではありません。
数年前までは、一瞬たりとも目を離すことはできませんでした。
たった数秒、目を離した瞬間にいなくなって、大捜索するなんて、日常茶飯事でした。
例えば、長男は小さい頃、デパートでいなくなり、パパと2人で手分けして走り回って、地下1階から地上7階まで何度も往復して探したこともあります。
スーパーで、次男が子供用の自動車型カートに乗れないなど、気に入らないことがあると、泣き叫んでいたので、不審な目で見られたりしたときも、しょっちゅうでした。
その他にも、つばを吐いたり、人に噛み付いたり、動物を見かけると追いかけたり・・・。
多くの子供達の不適切な行動に、振り回されていたので、いつも心も体も疲れ果てていました。
でも、根気よく、それらを一つ一つ消去したり、他のよい行動へと変えていったのです。
また、それと同時に子供達が自分でできることを、少しずつ増やしていけるように、まずは身の回りのことを子供達にさせていました。
今では、一人で着替えもできるようになったり、自分で冷蔵庫から水を取り出して飲むことなど、まだまだな所はありますが、できるようになってきています。
その他には、買い物の時に「欲しい・いらない」の選択、簡単な「好き、嫌い」の区別程度なら、言ってくれるようになりました。
私達は、日々の生活の中で、毎日のように、小さな奇跡が起こっています。
長男が自閉症と診断されて、将来のことが不安で途方にくれていたあの頃の自分に伝えたいです。
「大丈夫だよ。子供を信じてあげてね」と。
追伸
私達の体験や学んだことを1冊のデジタルEブックにしてあります。
もし、子育てでお悩みの方がいらっしゃいましたら、何かしらのヒントが得られるかもしれないので、下からダウンロードしてみてください。