あなたは、療育手帳のことを知っていますか?
療育手帳とは、都道府県の知事が発行している知的障害者(および知的障害児)が補助を受けるために必要な手帳です。
この手帳は、都道府県によって呼び名が違い、全国的には「療育手帳」と呼ぶことが多いのですが、東京都では「愛の手帳」、埼玉県では「みどりの手帳」となっております。
療育手帳は、取得することにより、税金の控除や各種施設の料金などの割引を受けることができます。
例えば、税金の控除、各交通機関の割引、公共料金の割引、レジャー施設の割引・・・などなどです。
ただ、あなたはこう思っていませんか?
「療育手帳を取ったら、この子が保育園または幼稚園の入園、そして小学校就学のときに影響があるのでは・・・?」
私も、長男の療育手帳取得の際に、そう思っていました。
目次
療育手帳は取得した方がいいの?しない方がいいの?
長男が3歳前に、知的障害を伴う自閉症スペクトラム障がいと診断を受けた後、パパが言いました。
「療育手帳、早いうちにとっておこう」
そして、療育手帳について一通り説明してくれたのです。
でも、私は取得に対して、反対でした。
それは、療育手帳を取得すれば、長男の将来が閉ざされてしまうのではないか?と思ったからです。
療育手帳を持っていれば、保育園や幼稚園に入園するのが難しいのではないか?
小学校就学のときにも、何かあるのではないか?
将来、療育手帳を所持することによって、不利なことがあるのではないかと心配しました。
でも、実際に取得してみて、分かったことがあります。
取得は、将来に不利なのか?
我が家の兄弟は、自閉症スペクトラム障がいと診断されたあと、すぐに療育手帳を取得する手続きを始めました。
取得したとき長男:B1、次男:B2でした。
(※住んでいる地域により表示は様々です。私達の地域では、障がいの程度により、A1・A2・B1・B2に分けられています)
まず、保育園ですが、2人とも公立の保育園でした。
入園時の際には、療育手帳の有無は聞かれませんでした。
ただ、長男や次男に加配の先生をつけるための申請書類等には、療育手帳の有無を記載し手帳のコピーを提出しました。
そのため、我が家の兄弟達が、手帳を所持しているかどうかは、園長先生もしくは担任の先生など関係者のみだったと思います。
また、加配の先生をつけるかどうかの判断は、市町村での役所の判断となりますが、この療育手帳の所持も、判断材料としてはよい方向へ加味されたと思いました。
実際に2人とも、卒園するまで加配の先生がいてくださったので、よかったと思っています。
そして、小学校就学時には、就学による相談会の際に書類に記入し、併せてコピーも提出しました。
長男は、2017年時点では特別支援学校に在籍していますが、療育手帳を持っていたからではありません。
発達検査や両親からの聞き取り等から、総合的に教育委員会が協議して出た判定をもとに、夫婦で話し合い、特別支援学校にしようと決めたからです。
次男の時も同じように話し合い、結果として、次男は特別支援学級に決めたのでした。
ちなみに、普通学級に所属していても、療育手帳を所持しているお子さんはいらっしゃいます。
「療育手帳所持」というだけで、何か影響があるわけではなく、また関係者以外に知られることもありません。
取得はいつまでに?
療育手帳を取得する時期については、取得した方が子供にとって望ましいとご両親が判断した場合、なるべく早めに取得されることを勧めます。
なぜなら、お子さんが大きくなってから療育手帳の取得手続きをした場合、取得できない可能性があるからです。
例えば、お子さんが自閉症と診断されてから、療育により言葉が出てきたり、日常生活にほぼ支障がないくらい発達できると、知的障がいとは診断されなくなります。
また、都道府県によって手帳取得の基準が違います。
私達が住んでいる地域では、DQ値:75以下が、取得条件の一つとなっています。
一方、横浜市の方では、DQ値:90以下となっているのです。
つまり、横浜市よりも私たちの地域の方が、取得条件が厳しいのです。
そのため、もしお子さんが自閉症と診断され、知的な遅れが認められるのであれば、速やかに手続きに取り掛かっることをおすすめしています。
※DQ値についてわからない方は、こちらの記事をご覧ください。
療育手帳はずっと必要?
療育手帳は一度取得すれば、ずっと所持できるものでは、ありません。
それは、子供の療育手帳には再判定が義務付けられているからです。
この再判定の期間についても、都道府県によって違ってきます。
私たちの住んでいる地域では、6歳未満は2年ごとの更新で、6歳以上になると3年ごとの更新になっています。
年齢が高くなるにつれて、更新時期が長くなるのです。
もちろん、更新時期が切れてしまった後、再判定を受けなければ、手帳は使えなくなります。
その他に、再判定の際に、お子さんが療育により発達の促進がみられたと判定された場合は、手帳はなくなります。
もちろん、本人やご両親の判断で、療育手帳が不要と判断した場合は、手帳を返納することも可能です。
療育手帳の活用について
我が家では、長男・次男がそれぞれ療育手帳を取得しているため、私とパパは、それぞれの付添人という位置付けになります。
手帳を使っていろんなところへ
「子供たちに、いろんな体験をさせたい」
でも、いろんなところに連れて行くには、時間も必要ですが、お金も必要ですよね。
そんな時に、療育手帳での割引を活用しました。
例えば、2017年10月中旬に大阪・徳島・香川・鳥取へ旅行にいった際は、以下の所で療育手帳が使えました。
- ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(入場料割引・手帳所持者1名につき同伴者1名割引)
- うずしお観光汽船(運賃割引・同伴者割引なし)
- 渦の道(入場料割引・手帳所持者1名につき同伴者1名割引)
私達は、子供達の体験学習のために行った旅行先では、できるだけ活用するようにしています。
反面、私達親が主として利用するような場合は、あえて割引を使わない場合もあります。
支払った税金が戻ってくる
療育手帳は、税金面でもお得なのは、ご存知の方も多いと思います。
「障害者控除」をご存知でしょうか?
療育手帳の判定に応じて控除額が変わりますので、注意してください。
納税者自身、同一生計配偶者又は扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。
これを障害者控除といいます。
なお、障害者控除は、扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されます。
区分 控除額 障害者 27万円 特別障害者 40万円 同居特別障害者(※) 75万円 (※)同居特別障害者とは、特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族で、納税者自身、配偶者、生計を一にする親族のいずれかとの同居を常としている方です。
我が家の場合、療育手帳がB判定のため、障害者控除27万円が該当します。
より重度なA判定の場合、同居特別障害者控除の75万円が該当することになります。
この控除は、会社での年末調整の際に、障害者控除を追加すれば、会社の方で調整してもらえます。
ただ、ご家庭によっては、会社に申告されない方も多くいらっしゃると思います。
その場合は、自分で確定申告をすれば、会社に知られることもなく、障害者控除を受けることができます。
自分で確定申告をするのが初めてと言う方も、ぜひチャレンジしてみてください。
最初は難しいと思いますが、ネットで簡単に申告書を作成できますので、パソコンとプリンターがあれば、すぐにできるようになります。
ちなみに、我が家のパパも毎年自分で確定申告をしております。
確定申告するようになったことで、税金の知識も深まり、ふるさと納税等も行うようになりました。
還付を受けたお金で、温泉に連れて行ってもらったり、家族サービスもしてくれるようになりました。
取得してから分かったことも・・・
自治体によって療育手帳が発行されると、一緒に小冊子をもらうと思います。
それは、療育手帳がどんな手当に該当するのか等が、記載してあるガイドラインです。
もし、手当やサービス等が受けられるものがあれば、申請をして療育手帳を活用してください。
私達の子供は、長男はB1、次男はB2と、共にBグループに属します。
そのため、A1・A2のAグループでは対象となるのに、Bグループでは対象とならないこともあります(※自治体によって違います)
私達が住んでいる地域の例ですと、有料道路通行料金割引は、Aグループ割引対象・Bグループ割引対象外となっております。
このガイドラインが記載してある小冊子をもらったら、まずはお子さんに該当するのもがないかを、きちんと把握するようにしましょう。
子供ための療育手帳
療育手帳を取るときに、取得するかどうかを迷われる方がいると思います。
もし、お子さんが将来、障害者雇用枠での就職の際には、手帳がある方が有利です。
また、手帳があることにより、本人だけではなく家族も、様々なサービスを受けることが可能になります。
手帳を取ってしまうことで、「子供の障がいを認めざるを得ない・・・。」「まだ、子供の障がいを認めることができない。」と、考える方もいらっしゃると思います。
確かに、医師より「お子さんは、自閉症でかつ知的な遅れもあります」と診断されたら、すぐには気持ちの整理がつかないと思います。
ですが、いずれ療育先を決めたり、行政に書類等を提出するなど、子供の障がいを認めなくてはなりません。
子供の障がいを、受け止められないまま、長い月日を過ごすよりも、手帳を取得して、前向きに活用することで、子供の可能性を少しでも広げた方がよいと考えています。
私達は、子供達にいろんな経験をして欲しいと考えているため、いろいろな所へ出掛けています。
出掛け先で子供達は、はしゃいだり、泣いたり、怒ったり、喜んだり・・・様々な表情を見せてくれます。
大変なことも多いのですが、子供達の成長が垣間見えて私達にとっては、励みになっています。
また、環境を変えることによって、今まで見えていなかった子供達の課題も見えてくるため、その後の療育の参考になっています。
私達にとって、療育手帳は、子供の「未来」のための手帳だと考えています。
追伸
私達の体験や学んだことを1冊のデジタルEブックにしてあります。
もし、子育てでお悩みの方がいらっしゃいましたら、何かしらのヒントが得られるかもしれないので、下からダウンロードしてみてください。
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