自閉症の次男が、一人でおつかいに行けるまでの軌跡

2020年6月。

嬉しい出来事がありました。

次男が初めて、一人でおつかいに行くことができたのです!

おつかいから帰ってきた次男は、とても誇らしげでした。

 

次男が一人でおつかいに行けるまでを、振り返ってみました。

参考になれば、幸いです。

一人でおつかいまでの軌跡

思い通りにならないと、癇癪を起す幼児期の次男

我が家の子供達が幼児期の頃。

自閉症の子供を2人連れての買い物は毎回大変でした。

特に次男はとても活発だったので、私は買い物のたびに、次男の対応で疲れ果てていました。

  • 一緒について来てくれず、勝手にどこでも行ってしまう。
  • 店内に他のお子さんが走っていると、それにつられて走り回る。
  • 私に注意をされたり、自分が欲しいものを買ってくれないことがわかると、ひっくり返って大泣きする。
  • お店の外に出るとき、安全確認もせず飛び出そうとする。

そこで、平日は極力買い物に行かないようにし、主人が協力できる週末を利用してまとめ買いをしていたのです。

 

次男は自分の思い通りにならないと、激しい癇癪をよく起し、ひっくり返って泣いたり、店の外に走り出してしまうことがありました。

次男が激しい癇癪を起しているとき、なだめても叱っても、癇癪が収まることはなく、むしろ酷くなるばかり・・・。

お店や他のお客さんに迷惑がかかるので、別の対応を試すことにしました。

それは、次男が落ち着くことができないと判断したときは、主人が次男を抱っこして車の中へ連れていってもらうことです。

 

私と長男が買い物から戻ってくるまで、次男は主人と車で待機となり、そのまま自宅に帰ることになるので、次男にとって「思い通りにならない→激しい癇癪を起す→車に戻る(楽しくない・いいことがない)」ということを、徹底しました。

最初の頃は、車から降りようとしたり、家に帰った後も癇癪は続くこともありました。

周囲の人から見ると、「かわいそうに」や「うるさいなぁ」と思われていたでしょう。

でも、次男の癇癪に折れて、要求を容易に叶えることが、次男のためにもならないと思い、辛い時期でしたが、主人と協力して対処していきました。

 

癇癪などの適切でない行動を徹底するのと同時に、もう1つのことも実践していました。

それは・・・

「思い通りにならない→我慢する→お菓子を買ってもらえる(いいことがある)」

自分の思い通りにならなくても、我慢できたときには、買い物の最後にお菓子コーナーに寄って、好きなお菓子を買ってあげました。

2つのことを徹底的にしてきたので、少しずつ次男の行動は改善し、私も買い物が楽になって、主人のサポートがなくても子供達と買い物に行けるようになったのです。

 

今では、次男も長男も店内で走り回ることは、ありません。

こだわって泣くことも、癇癪を起すこともないです。

むしろ、買い物のお手伝いをしてくれるので、助かっています。

近所に〇〇〇ができたので・・・

子供達が大きくなってきたので、そろそろ将来のために、お手伝いや買い物ができるようにと考えていた頃、我が家の近所に、あるものができました。

それは、「ドラッグストア」です。

これを使わない手はないと思いました。

 

でも、いきなり一人でおつかいはできません。

まずは、自宅から一緒に歩いてドラッグストアに行き、危険なところがないかなど確認しました。

  • 裏通りでも、車がよく通るので、左右を確認してから道を渡ること。
  • ドラッグストアから出てくる車や自転車に注意をすること。
  • ドラッグストアから帰るときも、行きと同様に注意すること。

当時、子供達は、まだ危険意識が低かったです。

行くときに、車が来ているか確認もせずに、道を走って渡ったことがあるので、かなりヒヤリとしたことがありましたね。

なので、最初の頃は一緒に安全を確認しながら歩いて、習慣になるように繰り返し行いました。

何度もやっていくうちに、安全を確認してくれるようになったり、ドラッグストア以外の場所でも飛び出したりすることが減っていって、危険に対する意識が芽生えてきたのかなと思います。

 

そして、ドラッグストアでは、我が家が購入するものや、物の場所を覚えてもらう練習をしました。

買い物中に「台所洗剤、取ってくれる?」と子供達にお願いし、商品をとってもらいカゴに入れてもらいました。

ドラッグストアは、商品の配置が大幅に変わることは少ないです。

なので、子供達も我が家で必要なものがどこにあるかは、だいたい把握できたと思います。

 

あとは、実際に自分で買い物をする練習をしました。

ただ、まだ我が家の子供達は、お金に関してはまだまだ学習中なので、練習は自分が食べるお菓子、200円程度のものにしました。

自分が食べるお菓子を買いに行くということで、子供達はとても嬉しそうでした。

 

最初頃は、お金を出すのがしどろもどろだったり、おつりやレシートをもらうのを忘れたりなど、スムーズにできないので、時間がかかってしまうことがありました。

なので、お店や他のお客さんになるべく迷惑にならないように、空いている曜日や時間帯を狙って行きました。

子供達が何度が練習しているうちに、最初の頃よりはスムーズに会計できるようになったと思います。

兄弟2人だで買い物チャレンジ!(尾行付き)

子供達が、自分で買い物をすることに慣れてきたので、いよいよ子供達のみでの買い物にチャレンジ!

でも、何かあったときにサポートできるように、子供達に見つからないように尾行することにしました。

 

子供達が玄関を出た後、そーっと後をついていきました。

私が店内に入って子供達を探していたら、ちょうど買うおやつを選んでいました。

子供達の様子を見ていると、次男主導で買い物をしていました。

「お兄ちゃん、アイス選ぶんだよ。」

「お兄ちゃん、行くよ~。」

行動が消極的な長男を、次男がサポートしてくれて、とても頼もしかったです。

会計も終わり、無事に家に帰っていきました。

 

尾行がバレるときもありましたが、何度か子供達だけで買い物をする機会を増やしていきました。

また、主人にも尾行をしてもらい、子供達の買い物の様子を見てもらいました。

主人は、子供達が自分たちで買い物をしている姿を見て、成長したなぁとしみじみ思ったようです。

そして、一人でチャレンジ!

長男は一人での買い物をするには、まだ練習が必要かなと思いましたが、次男は次のことができていたので、大丈夫だと判断しました。

  • 道を渡るときに左右を確認し、車に気をつけることができる。
  • 買うものがどこにあるか、だいたい把握している。
  • 会計時に財布からお金を出して、おつりやレシートがもらってしまうことができる。
  • 商品がどこにあるかわからないとき、店員さんに聞くことができる。

 

ある日、台所洗剤が切れしまったので、次男に買いに行ってもらうことにしました。

次男にお願いすると、「俺、行ってくるよ!」と頼もしい返事。

一応、買ってくるものの実物を見せ、紙に台所洗剤の商品名を書いて渡しました。

また、会計がすぐに終われるように、小銭ではなく千円札を渡しました。

「いってきま~す」と、出かけた次男を窓から見送りましたが、とても心配でした。

 

約10分後、次男が意気揚々として家に帰ってきました。

「俺、ちゃんとできたよ!」

と買ってきてくれた商品と、おつりを見せてくれました。

 

幼児期は癇癪がひどくて買い物が大変だったのに、自分で買い物にいけるなんて・・・。

次男の成長がすごく嬉しくて、「すごいよ。できたね!」と次男を抱きしめました。

嬉しくて、涙があふれそうになりました。

 

次男におつかいのことを聞いてみると・・・

  • 商品は、いつもと同じものだから、どこにあるかすぐわかった。
  • 店員さんに「これ、合ってますか?」と、メモを見せて確認した。
  • 会計は、千円札を出してすぐ終わった。

今までの経験が、役に立ったと思いました。

親としては心配も多いけど・・・

今後は機会があれば、一人でおつかいをお願いするつもりです。

今はおつかいで買ってきてもらうものは1つだけですが、少しずつ増やしていこうと思います。

個数を増やしていくと、買う商品をたくさん探さないといけないし、自分で袋に入れないといけません。

その中で、課題が出てくるかもしれないので、練習しながらできるようにサポートしていきたいです。

 

また、次男が一人で買い物ができるようになれば、長男が買い物の練習をするときに、次男がサポートをすることができます。

次男のスキルが、長男のサポートに役立ち、長男のスキル獲得に繋がると思いました。

 

親としては危なくないか心配なことが多いですが、買い物の場合、ある程度できるスキルが身につければ、あとはサポートを続けながら、実践で経験を積んで学ぶことが大事だと思います。

長い時間かけて積み重ねてできたことは、ずっと身についていきます。

いずれそれが、将来への自立に繋がるでしょう。

参考になれば、幸いです。

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