長男がまだ自閉症と診断される前から、よく悩まされたことが「お出かけ」です。
長男が歩けるようになった頃、こんなことがありました。
公園での出来事
長男が自立歩行ができるようになったのは、1歳半頃でした。
ある日、近くの公園に遊びに行った時のことです。
その公園は広く、グラウンドもありました。
いつもは野球やイベントで使用されているグラウンドも、その日は何もなかったので、ガランとしていました。
すると長男、グラウンドをトコトコと歩き始めました。
トコトコ歩く姿に、微笑ましいなぁと思い見守っていました。
しかし、グランド場の中央あたりまで行っても、私達の方へ振り返りもせず、トコトコと歩く長男。
「そうちゃーん。そうちゃーん。」
と、私が長男を呼んでも、やはり振り返りもせず、トコトコトコトコ・・・。
長男が進む先には、車道が・・・。
危ないと思い、慌てて追いかけるパパ。
グラウンドの反対側の端の所で、ようやく長男を確保しました。
その時は、「歩くのが楽しかったんだね~」と言っていましたが、今になるとそういったことでは、なかったのだと思いました。
呼びかけても、どこかに行ってしまう?
長男が自閉症スペクトラム障がいと診断された3歳以降も、相変わらずでした。
興味があるものを見つけると、走っていってしまう。
「待って!」と言っても、止まらない。
道路に飛び出しそうになるのは、しょっちゅうありました。
また、長男が走って行ってしまったとき、後を追いかけないと見失ってしまうことも、ありました。
そのため、長男が走ると、すぐに私も走って追いかけていました。
健常の子供の場合、子供が先に走っていってしまっても、子供は親が自分の後ろにいるか振り返って、確認します。
しかし、その当時の長男は、決して振り返ることはしませんでした。
療育が始まったばかりの長男は、私達のことを気にしている素振もなかったので、当然かもしれません。
そのため、スーパーなどの買い物先で長男の姿を見失う時も、よくありました。
さらに、デパートの中を約30分捜して、ようやく見つかった出来事もありました。
子供に待ってほしいとき、あなたはお子さんにどんな声掛けをしますか?
- 子供の名前
- 「ちょっと待って!」
おそらくこの2つの言葉を、使われていると思います。
しかし、自閉症の子供にとって、この2つの言葉で立ち止まるのは、困難です。
あなたは、お子さんから約3mぐらい後ろに離れたところから名前で呼びかけると、振り返ってもらえますか?
我が家の長男は、それができませんでした。
「名前=自分のこと」という結びつきができてなかったのです。
健常の子供の場合、親子や社会のかかわりの中で「待つ」ということはどういうことかを学びます。
しかし、自閉症の子供だと、健常の子供と同じようには、いきません。
まず、「待つ」ということが、可視化できないからです。
そのため、「待つ=その場で立ち止まる」というイメージができません。
また、兄弟や他の子供の行動を、自分に置き換えること、つまり「模倣」が苦手です。
その結果、何度も親が「待って」と大きな声で言っても、立ち止まることは容易にできないのです。
対策としては?
ではこの場合、どうしたらいいでしょうか?
次のステップを試してみてください。
- 子供に立ち止まって欲しい場面のとき、もし子供が走りだしていたら、すぐに追いかけてください。
- 子供を後ろから、抱きしめる感じで、捕まえてください。
- 捕まえた瞬間、大きな声で「ストップ」と言います。
- 子供がきちんと立ち止まったら、「できたね」と言って褒めてから、子供を離す。
これによって、「ストップ=立ち止まる」ということを、子供に体と言葉で覚えてもらいます。
「〇〇ちゃん」や「待ってて」でもいいのでは?と、あなたは、思うかもしれません。
しかし、名前を呼ばれたり、「待って」は違う場面でもよく使います。
子供にこっちへ来てほしいときに、子供の名前で呼びかけませんか?
あなたが忙しくて手がはなせないとき、子供に「ちょっと待って」といいませんか?
ですから、子供の安全のためにも、すぐに絶対立ち止まって欲しいキーワードは分けておいた方がいいでしょう。
子供にへの言葉かけに大事なのは、「短い・分かり易い・他の意味と混同しにくい」です。
そのため、私達は「ストップ!」が一番適していると思い、日常生活の中でコツコツと練習しました。
最初のうちは、子供とはいえ追いかけるのが、大変だと思います。
捕まえた時に、子供は気に入らなくて、大きな声を出すかもしれません。
離した途端に、また子供は走り出すかもしれません。
私も、そうでした。
でも、決して怒ってはいけません。
怒ることで、子供は委縮してしまいます。
また、それとは逆に、親の反応が見たい・かまってほしいと思い、余計に走り出す子供もいます。
そのため、怒らないで、冷静に対処しましょう。
また、私達は子供達が小さい頃は、手を繋ぐ時には、必ず手首を掴むようにしていました。
子供達が一目散に走り出す時は、普通に手を繋いでいても、子供によってすぐ解かれてしまいます。
そのため、お子さんと手を繋ぐ時は、必ず手首を掴むようにしましょう。
子供の安全が確保されている公園の中などで、練習していると、徐々に「ストップ」という呼びかけだけで止まれるようになってきます。
もし、あなたの「ストップ」の呼びかけで、お子さんが立ち止まることができた時は、たくさんお子さんを褒めてください。
それによって、「ストップ=立ち止まる=褒められる=嬉しい」という成功体験、つまり「正の強化」を育むことになります。
現在の長男(2019年)
2019年3月の時点で、長男は9歳です。
今では、「ストップ」というと必ず止まってくれます。
そして、勝手にどこかに行ってしまうことは、まずありません。
買い物に出かけても、私達の側にいてくれます。
長男が先に歩いていても、ときどき振り返って、私達がちゃんとついてきているか、確認してくれます。
もし離れすぎていると気づくと、長男は私達の方へ駆け寄ってくれます。
本当に成長したなぁと思います。
今は、次のステップアップとして、買い物の練習にはげんでいます。
まとめ
自閉症の子供は、親の言葉がけのとおり行動することはとても困難です。
そのため、子供に教える時は、「親が声掛けしたら、立ち止まる」というスキルを獲得するために、親はどのように行動するのか、どのように声かけするのかという方針をきちんと決めてください。
そして「ストップ!」という声掛けと、「後ろから体を抱きしめる」という方法を決めたら、それを家族全員が共有して、皆で同じように根気強く教えていくことが大事です。
また、これは2~3回で習得できるものでは、ありません。
習得するのに時間が、かかるかもしれません。
そのため、日々の生活の中で取り入れ、無理のないように継続して行ってください。
さて、長男は「ストップスキル」を会得しました。
次男にも全く同じ方法でと思っていたのですが、次男にはちょっと問題が発生したのでした・・・。
その話は、次回にいたします。
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