ABC分析を使って、不適切な行動の原因を探ってみよう

前回の記事で、不適切な行動を起こす原因を探ることの重要性についてお伝えしました。

まだご覧になっていない方は、こちらからご覧ください。

自閉症の子どもの不適切な行動にどう向き合うか?その原因は?

いかがでしょうか?

あなたは、どう思いましたか?

「子供のことは、ちゃんと分かっているから大丈夫!」

「取り組むには、ちょっと難しいなぁ・・・」

 

「子どもの不適切な行動の原因を探る」

と言っても、思っていることを、言葉で表現できない子であったり、

実はお腹が痛かったなどのように、原因が目に見えない場合もあります。

 

適切に原因を判断するために、ABC分析モデルを使って、不適切な行動の原因を探ってみましょう。

ABC分析とは?

不適切な行動は、「原因」・「実際の行動」・「その結果」に分けて考えることができます。

お子さんが癇癪を起こすのは、行動前の出来事(Antecedent)、原因があって、実際の行動(Behavior)が起き、その行動の結果(Consequence)がもたらされるというものです。

ABC分析とは、行動をこのように要素に分けて考える手法のことです。

我が家であった次男の癇癪

我が家の次男は、保育園に入園して1年くらいたった頃、4歳前後が一番癇癪が激しかった時期です。

ちょっとでも気に入らないことがあると、泣き叫ぶ・激しく怒る・物を投げつける・・・

日々癇癪の対応に、私も主人も困っていました。

 

私が叱ると、なぜかヘラヘラと笑ってばかり。

次男の不可解な行動に、常に振り回されていました。

 

特に困ったのは、ブロックの「おもちゃ」が原因で機嫌が悪くなることでした。

目を離した隙に、ブロックを取り合っては、長男と喧嘩してばかり。

仲良くするように注意をしても、そんなことは関係ないとばかりに、喚き散らすという毎日でした。

そこで、次男にとって、何が問題になっているのかを具体的に確認するために、ABC分析を使ってみました。

行動のパターン

A:行動前の出来事(原因)
次男は長男が作ったブロックで遊びたいけれど、長男からブロックを貸してもらえない。

B:実際の行動
手元にあったおもちゃを、長男に投げつけて、大声をあげながら追いかける。

C:その行動の結果
長男から気になるブロックをゲットすることができる。

このため、Bの行動がますます強化されていました。

どうやって解決するか

ABC分析の場合、アプローチはAを改善するか、Cを改善するかの2通りに分かれます。

まず、Aを改善する場合、「そもそも不適切な行動が起きないように、予防線を張る」ということになります。

この場合ですと、長男の作ったブロックの作品を、どこか次男の目の届かないところにしまってしまう。

または、それぞれ遊ぶ場所を変えてしまう等の方法があります。

 

そのほかにも、スーパーでお菓子を買ってもらえないと、泣き出すことがわかっているお子さんの場合、一緒にスーパーに行ったら、好きなお菓子を1個買ってあげる。などが考えられます。

 

次に、Cを改善する場合、大声をあげながら追いかけていることが分かったら、決して欲しいブロックをゲットさせません。

どんなに泣いても、渡しません。そうすることによって、不適切な行動を消去していく方法です。

そのほかには、より適切な行動へ置き換える方法等があります。

今回の場合、この方法を選択しました。

改善の結果はどうなったか

その後、次男がブロックを貸して欲しい時、

喧嘩を始める直前には、すぐに2人の間に割って入って、次男に「かして」を言えるように練習しました。

次男を後ろから包み込むような感じで、一緒に長男にお願いするように、手を差し出して「かしてください」の練習です。

 

一方で、ちゃんと「かして」ができた以上、ちゃんと貸してもらわなければなりません。

長男に対しては、ちゃんと次男に貸してあげることができたね。とたくさん褒めるようにしたのです。

そして、次男がブロックに飽きた頃には、長男の元に返してあげていました。

上手に生活に取り入れるために

記録をつける

記録をつけることによって、客観的に癇癪の起こる条件を見直して、分析することができます。

特定の部屋で起こるのか、何か共通するきっかけがあるか等です。

 

なぜ、不適切な行動が起こるのかがよく分からないときは、癇癪などが起こった時に、

その都度、スマートフォンのメモ帳などを利用して、その時の状況を書き留めておくと良いでしょう。

状況が整理されてくると、なぜ癇癪を起こすのか、原因を特定しやすくなります。

 

記録をつけることができる方が良いのですが、日々の生活の中では大変です。

でも、何かしら不適切な行動が起こった時に、きっかけは何だろうと、注意してみるだけでも違います。

それが分かってくると、今度は「A:行動前の出来事」や「C:行動の結果」を変えてみることで、「B:実際の行動」が変化していきます。

お子さんの様子を注意深く見ながら、試してみてください。

家族全員が共有する

次男の癇癪に対しては、主人にも協力してもらいました。

主人にも私と同じ対応を心がけてもらったのです。

 

癇癪など、不適切な対応には、家族の協力が必要になってきます。

その場にいる人や、その時々で、対応がコロコロ変わってしまうことは、絶対避けなければなりません。

「こんなに泣いて、かわいそうに」

「泣いているとうるさいから、静かにさせて」

と、お子さんの希望を叶えてしまったりなどです。

そのためにも、お子さんの癇癪に対する対応方針を、家族で共有することがとても大事になります。

まとめ

具体的に問題となっている行動を特定するために、行動を細かく分解します。

その中で、改善する行動を選び、不適切な行動が起きる条件と、その後にとっている対応に注目します。

そして、行動前の出来事を変えたり、その後にとっている対応を変えて、不適切な行動を良い行動に置き換えたり、消去したりします。

 

記録をつけることで、客観的に分析することができますし、家族に説明したり、癇癪に対する対応方針を家族で共有する際、役に立ちます。

 

現在の2人は、たまにケンカすることもありますが、ブロックを使って仲良く遊んでいます。

次男の癇癪が激しかった時期は、本当に辛かったです。

でも、子供達の力を信じ、焦らずにじっくりと改善に取り組めたことが、子供達にとって良かったのだろうと、今となってはそう思います。

 

いかがでしょうか。

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