自閉症の次男が歯の矯正にチャレンジ! ~前編

次男が歯の矯正を始めたのは、2018年の4月頃で、2021年1月現在も矯正中です。

自閉症の次男にとって、歯の矯正は想像していたよりも大変でした。

同じ境遇のお子さんを持つお母さんに、我が家のことが参考になれは幸いです。

どうして、矯正することに?

みなさんは、「受け口」を知っていますか?

「受け口」とは、上下の歯を噛み合わせた時、下の前歯が上の前歯よりも前に突出している状態にあることで、反対咬合(はんたいこうごう) とも言われています。

 

次男は、小学校での歯科検診の時、噛み合わせことを指摘され、近くの歯科クリニックに診てもらったところ、「受け口」が原因かもしれないと言われました。

また、歯科クリニックの先生から、受け口は何もせずに放っておいた場合、自然と治る可能性は低く、顎がしゃくれてしまうとのことや、大人になってから受け口の治療をする場合、顎の骨を削るなどの手術をしないと治らないなど、説明がありました。

 

ただ、次男の場合、すぐに治療というわけではなく、しばらくは定期検診にて様子をみることになったのですが、もし改善してないようだったら、詳しい検査をしてから、治療方針を決めることになりました。

お子さんによっては、早い段階での矯正が必要かもしれません。

そうかもしれないと思った時、まずは、かかりつけの歯科の先生に相談してみましょう。

 

経過観察をした結果、やはり次男は治療の必要がありということで、受け口の矯正をするが決定となりました。

上記の写真が、当時の次男です。

でも、我が家では、誰も歯の矯正の経験がありません。

次男が、歯の矯正を頑張れるかどうか、私は不安でした。

矯正はどんな治療?費用は?

受け口の治療は、お子さんによって違うので、参考程度でお願い致します。

矯正方法 ~次男の場合

我が家の次男の場合は、2つの装置を使って治療をしました。

最初は、固定式矯正装置のリンガルアーチでした。

リンガルアーチとは、歯の裏側を通る針金と奥歯の金属製のバンドで構成された装置で、取り外しは原則的に不可能です。

部分的な歯の移動をおこなったり、永久歯がはえてくる場所を確保したり、動かした歯の後戻りを防いだりする目的で使います。

目的にあわせて、細い針金を追加したりします。

 

そして、ある程度改善した頃に、マルチブラケット装置を使いました。

マルチブラケット装置とは、矯正治療で最もよく使う装置です。

歯に直接つける装置ですので、原則的につけたままになります。 全体的につける場合と、部分的につける場合があります。

 

通院は、月に1回で、診察・処置時間は、だいたい15~30分ぐらいでした。

精密検査や矯正装置をつけるときは、やはり時間がかかりましたね。

矯正の料金は?

矯正の料金は、病院によって違うと思いますが、我が家の例が参考になれば幸いです。

  • 検査診断料 ¥30,000(税別)
  • 矯正料金 ¥300,000(税別)
  • 1回あたりの処置料 ¥3,000(税別)

次男が通う歯科クリニックでは、矯正料金は、分割払いでもOKでした。

次男が、矯正治療を継続してできるのか不安だったので、矯正料金を一括ではなく分割にすることに。

そして、万が一、治療を断念した場合、矯正料金がどうなるか等、確認をしておきました。

 

ちなみに、今回の矯正治療は、医療費控除の対象になりました。

国税庁ホームページ 「医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例

大変だった最初の1年間

次男に矯正することを決めた最初の1年間が、いろいろ大変でした。

もし、お子さんが矯正治療される時の参考になれば、幸いです。

精密検査 〜初めてのことばかりで、不安になる次男

次男がしたことは、次の5つです。

  1. 歯の写真
  2. 顔の写真
  3. 歯のレントゲン写真
  4. 頭部のレントゲン写真
  5. 歯列の模型

 

歯の写真は、口の形を「い~」の状態にし、プラスチックの器具を2つ、左右の頬にそれぞれ入れて引っ張り、口を大きく広げた状態で写真を撮ります。

顔の写真は、子供の正面と横向きの写真をとります。

ここまでは、大丈夫でしたが、レントゲン写真で問題が・・・。

 

院内にあるレントゲン室で、歯科用CTを使って写真を撮るのですが、次男にとってレントゲン写真をとるのは、人生初です。

見たこともない機械で、しかも一人で動かずにいる・・・。

レントゲン室前で次男は固まり、そして、「こわいよぉ~。」と泣いてしまいました。

このままでは難しいと思い、私は先生に一緒にレントゲン室に入れないかお願いしてみました。

先生からOKをもらい、私もレントゲン室に入りました。

それで、次男は安心したのか、レントゲン写真を撮ることに成功しました。

 

あとは、歯列の模型だけ。

模型作成のために、歯型をとるので、上の歯と下の歯に冷たくて粘土のような物を口の中に入れ、固まるのを待ちます。

歯型が固まる約5分間は、口を開けた状態で動いてはいけないのと、粘土に苦みがあるため、次男は辛そうでした。

 

粘土が固まり、それで終了かと思ったのですが、上だけうまく歯と密着していなかったので、もう1度やり直しでした。

次男は「えぇー」と嫌そうでしたが、何とか頑張ってくれたおかげで、今度はうまく歯型がとれ、こうして精密検査は完了しました。

 

当日いきなり精密検査となると、お子さんによっては、不安になったり、パニックを起こしてしまうかもしれません。

予めどんな精密検査をするのか本人に説明したり、病院側がOKであれば、レントゲン室などを見せてもらうなど、お子さんが安心できるようにサポートできれば、お子さんの不安が和らぐかもしれません。

 

ただ、初めてのことだと、いくら事前に何をするのか教えても、お子さんは怖いかもしれません。

最初に、精密検査が終わったら、大好きなご褒美がもらえるなど、頑張るモチベーションが高くなるようなものを、提示してみてください。

そして、お子さんが頑張れるように優しく励ましたり、終わった時は、たくさん褒めてあげましょう。

どうしても難しい場合は、焦って無理にするよりも、日にちを変更するなど、配慮してあげてください。

矯正装置装着 ~気をつけることとは?

精密検査の結果、次男の骨格に問題はなく、受け口は、前歯の位置が逆になっているのが原因でした。

通常でしたら、上の前歯は下の前歯の上にかぶるようになるのですが、次男は下の前歯が上の前歯にかぶるようになっていたのです。

そのため、上の歯の裏にリンガルアーチをつけて、そして細いの針金を追加して、前歯を出す治療となりました。

リンガルアーチは、上の奥の歯にそれぞれセメントで固定して装着しました。

リンガルアーチ装着後の様子

装置をつけると、3時間後から痛み始め、24時間後が最も痛みを感じ、3日から1週間後で収まるようです。

次男は、装置を付けた初日は痛そうでしたが、痛みが引いた後は、今度は違和感があるようで、舌で装置を触ったりしていました。

 

リンガルアーチを装着している間は、歯磨きの仕上げ磨きをいつもより丁寧にしていました。

先生曰く、装置の間に磨き残しが原因で、虫歯になりやすいとのこと。

そのため、歯の隙間を磨きやすい歯ブラシにしたり、装置の針金の上からと、下からと磨いていました。

そのかいあって、次男は虫歯にならずに済みました。

 

でも、リンガルアーチの細い針金が気になる次男。

普段からちょいちょいと、舌で触っていたようです。

それが原因で、のちに思いがけないことが・・・。

予想外のハプニング 〜装置が折れた!

リンガルアーチ装着後、月1回の通院をしていた次男。

毎回の診察では、矯正専門の先生が経過を見てから、歯科衛生士さんが歯のお掃除などメンテナンスをしてくださいました。

回数を重ねるごとに、次男も慣れてきたようで、メンテナンス中に居眠りすることも・・・。

矯正の治療は、子供が治療に参加してくれることが必要条件なので、治療中にリラックスしている次男を見て、私は少し安心しました。

 

ところが、病院に行った3日後の朝のこと。それは、起こったのです。

「おかあさん、折れちゃった・・・」

私の隣で朝食を食べていた次男の手に、何やら細い針金がありました。

この針金、次男の前歯を押し出すためのリンガルアーチについていた針金だったのです!

どうやら、朝食を食べていた時、針金に挟まった朝食を、舌で取れないかいじっていたところ、折れてしまったようです。

 

とりあえず、痛みなどの問題もなさそうだったので、次男を学校に行かせ、

念のため、学校の連絡帳に矯正装置が一部折れたことと、何かあれば私に連絡してほしいと書いておきました。

病院に連絡したところ、学校が終わってからでいいので、来て欲しいとのこと。

 

病院で診察して頂いたところ、問題はなかったのですが、矯正専門の先生は常駐していないので、次の診察日までそのままでした。

この時の診察料は、矯正料金に含まれるので無料だったのですが、同じことが3回ぐらいあって、その度に病院に行くのが大変でしたね。

次男に触ってはいけないことを伝えてはいましたが、やはり気になるようで・・・。

あまり注意をしすぎると、次男にとってストレスになるかもしれないので、気づいたときにだけ、やんわりと注意をするように気をつけました。

そして、リンガルアーチをして約8か月後、ようやくリンガルアーチを外すことになったのです。

次の段階へ 〜新しい矯正装置

次は、上の前歯4本に、マルチブラケット装置がつくことになりました。

リンガルアーチ装置をしていた時、前歯の最後の乳歯が抜けて、永久歯が微妙な位置に生えてきたのです。

そのため、ブラケット装置を、動かしたい歯と他の3本の歯の表面に装着し、それぞれブラケットにワイヤーで連結して、歯を動かし歯列を整うことに。

 

このマルチブラケット装置は、装着するのに時間がかかりました。

簡単に説明しますと・・・

  1. 装着する歯の表面をきれいにする。
  2. 装着中に歯と口がくっつかないように、プラスチックの器具を歯と唇の間に入れる。
  3. 歯に接着剤をつける。
  4. 1つの歯に1個ずつ装置をのせて圧接する。
  5. 接着剤が固まるまで約10分間そのまま。
  6. 装置にワイヤーを通して固定。完了。

終わるまで約30分ぐらいかかったと思います。

幸いにも?装置固定中に、次男は爆睡していました(笑)

マルチブラケット装置後の様子

お子さんにもよりますが、装着して3時間後から痛みを感じ、24時間後が最も痛み、3日から1週間くらいで収まります。

次男は、装着して2日後ぐらいで痛みが収まりましたね。

 

リンガルアーチの時と同様に、仕上げ磨きを丁寧にして虫歯にならないように気をつけていました。

装着してからは、リンガルアーチの針金のように壊れたりすることが1度もなかったのが、良かったです。

装置に慣れてしまうと違和感はそれほどないようで、次男が困るときはなかったです

これで終了?

マルチブラケット装置は、装着して約3か月後に外されました。

 

装置は、接着剤で圧接してあるので、ペンチのようなもので取り外します。

取り外すときに少し痛みがあるかもしれません。

また、次男の時は、接着剤が残ってしまったので、研磨の機械でとってもらいました。

次男は、もともと定期検診に通っていたので、研磨の機械の音には慣れていましたが、

音が苦手なお子さんの場合は、耳栓やイヤーマフがあるといいかもしれません。

 

マルチブラケット装置が取れた時、前歯がすっきりしたようで、次男は嬉しそう・・・。

約1年ぐらいの治療でしたが、頑張ったと思います。

しばらくは、経過観察で通院は続きますが、鏡に映るきれいな歯を満足そうにみつめる次男の姿を見て、とりあえず安心しました。

 

でも、これで矯正治療が終わりではありませんでした。

その後の経過観察にて、また状況が変わってきたのです。

それは・・・?

後編に続く!

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この本の中には、これまで私達が体験してきたいろいろなエピソードを基に、私達が感じた不安や、不安を感じつつも、やってきて良かったと思ったこと、そして、自閉症の子供を健やかに育てるために、幼児期から気を付ける7つのことが書かれています。
かつての私達と同じように、将来に対する不安を抱えているお母さんや、お子さんに診断が出て戸惑っているお母さん、不安になっているお母さん達の心の負担がきっと軽くなるでしょう。

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