あなたは、子供の発達に気になる点がありますか?
もし、1歳6ヶ月健診で母子推進委員さんから「しばらく様子をみましょう」と言われたら、あなたはどうしますか?
長男が自閉症と診断されるまでの経緯
我が家の長男が、1歳6ヶ月健診を受けた頃、まだ言葉を話すことはできませんでした。
でも、その当時の健診では、保健センターの母子推進委員さんより「しばらく様子をみましょう」と留められただけで終了しました。
無料で配布している「デジタルEブック」をご覧になった方は、ご存知だと思いますが、それから2歳児の歯科健診の際、長男の様子を再度みた母子推進委員さんの勧めで、発達専門の方に長男をみてもらうことになりました。
でも、その方には私の関わり方が悪いと指摘されただけで、長男の発達障がいを疑うまでには、至りませんでした。
しかし、長男が3歳になる少し前に、「自閉症」と診断されました。
1歳6ヶ月健診で「しばらく様子をみましょう」と言われ、3歳で自閉症とわかるまでの約1歳6ヶ月の期間ですが、私は本当に長男の「様子をみているだけ」になりました。
もちろん、長男の不可解な行動が増え、いつまでたっても言葉が出ないことに対して何か対策はないかと、必死に育児書を読んだり等はしていました。
もう一度、保健センターに相談しようとも思いましたが、ただ自分の関わり方が悪いだけからだと強く思い込んでいたので、やめました。
また、私は長男が自閉症だとは夢にも思っていなかったので、小児科や専門機関に、長男の発達について診察してもらうという選択肢は思いつかなかったのです。
そのため、今でも「あの時もっと早く小児科の先生に相談していたら・・・」「健診のときに適切に判断してくれていたら・・・」と後悔してしまう時があります。
では、乳幼児健診で発達障がいを疑う手がかりは無いのでしょうか?
1歳6ヶ月で発達障がいを疑う手がかり
以前の記事にも記載しましたが、1歳6ヶ月以前の乳児期では、自閉症を発見することはきわめて困難です。
子供が1歳6ヶ月頃になると、一般的に自発語で単語を5語以上話せるようになります。
この割合は、女児で90%、男児では85%程度に達すると言われており、何らかの意味のある単語を言えるようになる割合は、9割に達します。
この時点で、8割以上の子供が何らかの単語を話せますから、「発語が無い」ということは重要な判断材料になります。
また、この時期では、相手の表情や身振りなどへの反応の有無(ノンバーバルコミュニケーション)能力の判断が、重要になってきます。
それは、自閉症の場合、必ずしも言語の発達の遅れがあるわけではなく、相手の表情や身振りなどの言葉以外でのコミュニケーションの遅れが、大きい場合があるからです。
しかしながら、この言葉以外のコミュニケーションの遅れについては、健診で判断されることはほとんどなく、正確に判断する指標があるわけでないため、早期発見がされにくいのが現状です。
3歳までに発達障がいを疑う手がかり
2~3歳頃は、社会的な発達が顕著に現れてくる時期です。
この頃になれば、あいさつができるようになり、していいことと悪いことの区別や、悪い事をして目を逸らしたりと言う行動ができるようになります。
また、自我の意識が芽生えてくる頃で、おもちゃが欲しいなどの要求ができるようになってきます。
そして、この頃になると、社会的な発達の側面から、自閉症を疑うことができるようになります。
例えば、大人の指示に従えない、いつも母親のそばを離れることができない、集団遊びができないなどです。
言葉の面では、2語文などを話すようになり、自分の名前や年齢が言えるようになります。
これらができないと、自閉症を疑うことになります。
また、3歳になれば、相手の表情や身振りなどへの反応(ノンバーバルコミュニケーション)や、対人関係の判断ができるようになります。
お母さんの表情の理解ができるか、場面の理解ができるか、他の子供と遊べるかなどを見ることで、自閉症の判断が可能になってきます。
注意しなければならないのは、初めて子育てするとき、この2歳から3歳になるまでの時期は、一般的にイヤイヤ期と重なるため、「イヤイヤ期なのかな?」と勘違いしてしまうことです。
一般的なイヤイヤ期とは、自我が芽生えることによって「僕はこうしたい」「うまく伝えることができない」という、もどかしい気持ちの表れとして出てくるものです。
そのため、社会的な発達が遅れていて、指示が聞けないということとは、区別しなければなりません。
私達も、「イヤイヤ期」が来るということは知識として知っていましたから、2歳頃の長男の行動に、「イヤイヤ期だからなのかな?」と勘違いしていました。
例えば、長男が公園で黙々と小石を排水溝に入れ続けたり、何時間でも葉っぱをひらひらさせていたのを、止めさせようとすると泣き叫ぶようなことです。
しかし、「初めの子供、初めての子育て」ということで、長男が気に入らなくて泣き叫ぶことを「イヤイヤ期」だと思い込み、「自閉症の疑い」を見逃してしまったのだと思います。
発達検査について
自閉症の疑いを持たれた子供は、通常、発達検査を受けます。
もし、発達検査で知能の遅れが認められ、知的障がいと判定された場合、「将来にわたって発達の改善はむずかしい」と決めつけられてしまう危険性があります。
なぜなら、世間一般では、子供の時代の発達指数も、成人の知能指数と同じように変化しないものと誤解されているからです。
ですが、子供の発達指数は変化するもので、例えば発達指数が40や50だったのに、個別療育を行うことによって、70や80に上昇することも十分にあります。
では、発達検査と知能検査は何が違うのでしょうか?
健診の行われる1歳6ヶ月児や3歳児は、発達の途中だということもあり、知的能力を正確に測定することが困難なのです。
そのため、通常の知能検査に代わって、発達の程度を調べる方法が「発達検査」です。
この発達検査には、以下のようなものがあります。
・新版K式発達検査
・乳幼児精神発達診断法
・日本版Bayley-III乳幼児発達検査
・ASQ-3
・KIDS乳幼児発達スケール
・日本版デンバー式発達スクリーニング
発達検査の中には、異常の有無を判定するだけのものがありますが、一般的には検査後、発達指数であるDQ値を示されることが多いです。
このDQ値は、発達年齢を歴年齢で割ったもので計算されます。
ですから、歴年齢と発達年齢が同じであれば、100になります。
発達の遅れがあればあるほど、数値は100から下がっていきます。
この発達検査で知っておいて頂きたいことは、歴年齢にしても、発達年齢にしても、変化していくということです。
長男が2歳10ヶ月に受けた発達検査(新版K式発達検査)では、DQ値=39でした。
しかし、療育を始めて3歳10ヶ月の約1年後には、DQ値=50へと変化したのです。
一般的に成人の知能指数は、老化が始まるまでは一定とされています。
しかし、子供達の場合は、年齢と共に知能が発達しますから、そもそも比較できるのは同じ年齢の子供達とだけです。
自閉症を伴わない、知的障がいの場合は、検査結果がその後の知的能力の発達に深くかかわると言われていますが、こと自閉症児の場合、必ずしもそうとは限りません。
例えば、乳児期に全くハイハイができないと思ったら、突然つかまり立ちをして歩き出したりするなど、必ずしも定型の発達をしないからです。
5歳以降になれば、ウェクスラー式知能検査を受けることがあります。
この検査についても、言語性IQと動作性IQの差が15以上あれば、全検査IQの信頼性は低くなりますので、この検査結果自体が、参考程度にしかなりません。
しかし、こういった検査の特性が知られていない場合があるため、小学校低学年の時にこの知能検査をうけた結果、全検査IQが低く出たという理由で、普通学級から特別支援学級への転籍を進められてしまうケースすらあるそうです。
そのため、発達指数や知能指数は、子供時代には変化するものだということや、検査法によっては特性があるため正確な判定ができないということも、知っておいてください。
まとめ
言葉の遅れを伴う自閉症では、療育を行う時期が早いほど良い効果を与えることが分かっています。
しかしながら、一般的にこの事実を知っている人が余りに少ないために、しばしば「様子を見ましょう」という名目で、何もしない時期が過ぎていくことがあります。
この、「様子を見ましょう」「温かい目で見守ってあげましょう」という言葉は、聞こえはいいです。
しかし、結局のところ「よく分からないから、今は何もしないでおきましょう」ということを体よく表現しているにすぎません。
もし、お子さんに少しでも自閉症が認められる可能性があるならば、適切な療育を早期に開始すべきです。
そうすれば、何かしらつまずいていることが、少しでも改善が見込めるかもしれません。
子供達にとって、子供である時期は今しかありません。
3歳でしゃべらなかった子供が6歳になってしゃべりだす可能性はあっても、8歳のときまでしゃべらなかった子供が10歳でしゃべるようになることは、可能性としてかなり低いです。
そのため、今からお子さんのためにできることを考え、たとえゆっくりでもいいから、1つずつ実行していくことが、とても大切になります。
また、発達外来のある病院で診察を受けさせようと予約をしても、すぐには予約ができないかもしれません。
地域にもよりますが、初診まで6ヶ月以上かかる場合もあります。
もし、あなただったら、お子さんが初診を受けられるまで、どのように過ごしますか?
いつも通りに過ごすだけですか?
それとも、お子さんのために何か行動し始めますか?
お母さんの行動によって、お子さんの発達が変わってくるかもしれません。
今、大事なことは、お子さんが、どのようなことにつまづいているのかを把握し、将来にわたってどのような困難があるのかを予測し、それに対してどのように対策を打っていくのかを考え、実行していくことです。
追伸
無料で配布しているデジタルEブックに、私達の経験やヒントが書かれています。
よろしければ下のリンクからダウンロードして、参考にしてみてください。
お役に立てれば幸いです。
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