自閉症の長男に思春期がやってきた

我が家の長男は、12歳になった2020年頃から思春期がやってきたようで、いつもと様子が違う日がありました。

参考になれば幸いです。

思春期とは?

長男が特別支援学校の高学年(4年生)になったとき、私は思ったことがありました。

「自閉症の長男に、思春期はやってくるのだろうか?」と。

思春期は誰にでもやってくる

障害の有無に関係なく、思春期はやってきます。

お子さんによって時期は違いますが、だいたい10歳頃から始まり、高校卒業まで続くようです。

思春期になると、体が少しずつ大人へと変化していくので、その変化に戸惑ったり、ストレスを感じるようになるので、心が不安定になり、周囲にそれをぶつけてしまうこともあります。

また、お子さんによっては、それまで親と過ごす時間が多かったのが、自分だけの時間を過ごすようになったりします。

思春期になることで、少しずつ「個人」としての自分を認識するのでしょう。

子供にとって、思春期は心身ともに大人になるための大事な時期ですね。

思春期の発達障害について

発達障害の特徴は、幼いころから目立ちはじめるものですが、思春期になると現れ方が変わるものもあります。

自閉症スペクトラムだと、思春期には対人関係の悩みが増えがちになったり、ADHD(注意欠如・多動性障害)だと、思春期には、多動、衝動的、不注意が多少和らぐ場合があったり、LD(学習障害)だと、勉強をさける態度が定着している場合もあるそうです。

また、子供の特性は、年齢を重ねても基本的に変わりませんが、思春期にはそれまでの経験による影響も出てくるため、一人一人の違いが目立ってきます。

なので、思春期には、それまで以上に子供の状況をよく見る必要があるのです。

親としてできることは?

親としては、思春期の子供の状況をよく見る必要はありますが、ある程度子供と距離を置くことも大切です。

子供が反抗的な態度をとっても、それに対して親の考えを押し付けるのではなく、子供の意見にも耳を傾けたり、時にはそっとしてあげることが、対処としては有効でしょう。

ただ、子供が困ったとき、助けを求めたときは、すぐ駆けつけたり、相談に乗ってあげるなど、「見守っている」ことがお子さんに伝わると、お子さんも安心して、困難なことがあっても、それを乗り越えようと試行錯誤するでしょう。

それによって、自立心が芽生えてくると思います。

 

ただ、そうはいっても、実際に自分の子供が思春期を迎えたとき、どうなるのか全く想像がつきませんでした。

やってきた長男の思春期

長男の様子が、いつもと違うな~と感じたのは、6年生の2学期の終わりごろでした。

これって思春期?

それまでの長男は、いつもとても穏やかで、くすぐられることが好きだったり、私や主人がくつろいでいると「何しているの?」みたいに来て、一緒にくつろぐことが日常でしたね。

でも、6年生の2学期の終わりごろから、徐々に「ちょっと変」と思うことがあったのです。

 

まずは、落ち着きがなくなりました。

自己刺激行動は、以前から少しはありましたが、部屋の中をウロウロする・ピョンピョンと跳ねる・手をヒラヒラしてそれを見るなど、かなり頻繁に出るようになったのです。

注意をしすぎると、それが逆効果になるかもしれないので、やんわり注意をしたり、「カーテンをあけてくれる?」「〇〇〇、とってくれる?」と別の行動に切り替えてもらうなど、してもらいました。

勉強をしたり、テレビを見たり、レゴなどをしているときは、落ち着いているし、集中もしていますが、それ以外となるとなぜか落ち着きがなかったですね。

 

あとは、一人でいたいのか、私や主人が長男に「何しているの?」と近づくと、長男は別の部屋に行ったり、

「あっちいってください」

と、自分のところにこないで欲しいことを伝えるようになりました。

普段から自発的に発語があまりない長男なので、あっちへいくように要求の言葉がでたときは、一人でいたいのかなと思い、そっとしてあげるようにしました。

一人になった長男は、主にヘッドフォンで音楽を聴いていたり、漫画などの本を読んだりなど、自分のペースで時間を過ごしているように見えましたね。

思春期って、こんな感じなのかな?と思っていたのですが、これだけでは終わりませんでした。

親をイライラさせたい反抗心?

この時期の長男は、「間違いを指摘されること」が嫌で、学習が難航したときがありました。

我が家では、学校の宿題の他に、自宅学習をしています。

自宅学習をするのは、学校などで習ったことを繰り返すことで、しっかり身につくことができるからと、座って落ち着いて学習できる習慣は、将来、子供達が仕事に就くために大事なことだからです。

自宅学習は、長男は5年生から、次男は3年生から始め、ずっと続けてきたおかげで、今は学習の習慣がしっかり身についたと思います。

 

ただ、毎日がスラスラ問題を解けるわけでもなく、間違えることもあり、うまくできないことでイライラしたり、できない悔しさで涙ぐむこともあります。

特に長男は、問題を間違えたり、解けなくて私が教えると、次のような行動をよくしていました。

  • できないことに「くやしい」というのではなく、「〇〇〇、行きたい」とその場に合わない言葉をわざと言う。
  • 立ち上がって、わざとに腕を大きく振って壁に当てる。
  • わざとに手を掻いて「痛い」と言う。

地味にイラっとする長男の行動に、うまく対処できたときもありましたが、つい怒ってしまったこともありましたね。

どうして、長男はこんな行動をするのか不思議に思っていたのですが、「問題がうまくできないことのイライラ」と「私に指摘されるイライラ」から私に対する反抗心で、私をイライラさせたかったのかもしれませんね。

なので就寝の時、私が電気を消そうとしたら、私よりも先に電気を消して、私に向かってニヤニヤしたときもありました。

少しイラッとはしましたが、子供達が小さい頃から、「わざとに何かをしたときは、その行動に対して相手にしない(無視する)」ことを続けてきたので、落ち着いて何事もなかったかのように、私はもう一度電気をつけて消すと、長男は特に何もなかったかのように寝ました。

幼児期のころの子供達への対処術は、子供達が大きくなったときでも役立つものですね。

 

あの手この手で、私をイライラさせようとする長男に対して、冷静でいることができましたが、ある日、とうとうこんなことが起こったのです。

長男のイライラがついに・・・

この日は、学校の後に通っていた放課後デイサービスでも落ち着きがなかったり、他の子が使っていたおもちゃを壊すなど、いつもと様子が違う長男に、デイサービスのスタッフさんも驚いていました。

家に帰ったときは、落ち着いていたように見えたのですが、内心はそうでもなかったのです。

 

自宅学習で、国語をしていたとき、長男が読めない漢字があったので、「漢字の上にふりがなをつけたら?」とアドバイスをしたのですが、長男はふりがなをつけませんでした。

長男にしてみたら、「次は読めるから、ふりがなはつけなくていい」と思ったのでしょう。

でも、私はふりがなをつけた方が、次はスムーズに読めると思ったので、もう一度アドバイスをしたそのとき、

長男は泣きながら、「〇〇〇、行きたい」と言い、自分の爪で両頬を引っ掻いたのです。

自傷でした。

長男が大きくなってから、初めての自傷だったのでビックリしましたね。

どう対応した?

ここで、動揺して「何やっているの!」「やめなさい!」と言うと、長男には逆効果だと思ったので、何事もなかったかのように、「次の問題しようね。座ってください。」と淡々と言いました。

心の中では、「これで、うまく乗り切れたか?」と心臓バクバクでしたが、この日の長男は、これで終わリませんでした。

次は私の視界にはいる距離で、わざと髪の毛をボサボサにして、「髪の毛、ボサボサ」と、この状況とは全く関係ないことを泣きながら言い始めたのです。

おまけに、涙を拭くたびに、新しいティッシュを何枚も出す始末・・・。

今日は珍しく癇癪が長引きそうだなぁ・・・と思い、長男が落ち着くまで、様子に注意しながらそっと見守り、いつもと変わらないように接しました。

 

この日の自宅学習は、いつもよりも長くかかりました。

途中で「明日にする?」と長男に聞きましたが、ムッとした口調で「やります!」と言ったので、本人に任せてみました。

最後まで頑張った長男を褒めましたが、表情は最後までムスッとしていましたね。

とはいえ、何とか切り抜けることができたので、私はホッとしました。

今後はどうする?

この出来事のあと、長男はイライラすると場面に適さないことを言うときはたまにありますが、爪で両方頬を引っ掻くなど、自傷は起きていません。

あのときの対処が、長男にとってはよかったのかもしれません。

ただ、「読めなかった漢字にふりがなをつける」ことを、あまりクドクド言わず、もし、次読めなかったときは、自分でアプリを使って調べてもらうなど、自分で納得できる方法でアプローチしようと思いました。

今は、まだ思春期の入り口なので、今後はどうなっていくかは、わかりません。

言葉で自分の気持ちや考えを伝えることができる子は、思春期になると、口調がキツくなるかもしれませんが、長男のように自分の気持ちや考えを、うまく相手に伝えることができないお子さんだと、自傷や他害をすることで、自分の気持ちを表現しているのかもしれません。

子供の自傷や他害は、親にしてみると驚きますし、どうしたいいのか不安になります。

でも、気をつけて頂きたいのは、それを力技で抑え込むと、子供からの反発も大きいです。

なので、自傷や他害が起こる前の出来事や、自傷や他害が起こったあとどうなったか、子供の行動をよく観察をしたり、記録をすることで、どんな対処をするのが、一番適しているか見えてくるでしょう。

また、自分のもどかしい気持ちを、自傷や他害、適切でない言葉で表現するのではなく、それ以外の適切な言葉や表現で言えるように、日常生活の中でお子さんが穏やかなときに練習してみるのもいいと思います。(ただし、言わせようとしたり、何度も繰り返すことはNG)

子供の思春期は、小さい頃のイヤイヤ期のように、一筋縄のようにはいかないと思いますが、大人になるための前準備をしていると思って、お子さんを温かく見守ってあげてくださいね。

参考になれば、幸いです。

ありがとうございました。

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